「おはなの~さいた~えがおでニコニコ~」
「素敵な歌だね」
「おにいさんだあれ?」

 それがコルネリアとレオンハルトの最初の出会いだった。
 彼女の綺麗な長い髪と同じ色の花を咲かせる木の下で、レオンハルトは彼女の隣に座って話しかける。
 孤児院で育つ彼女は質素な服に身を包み、それと反対に彼は身なりが良く明らかに貴族の格好をしていた。

 コルネリアが生活をしている孤児院の隣には教会が併設されており、そこにいるシスターたちや一部の婦女子たちが孤児院の子供の世話をしていた。
 教会は元々王家直属──王族管轄という国直営のものであったが、王弟であるヴァイス公爵がその経営や管理を引き継いだ。
 そして、そのヴァイス公爵の孫にあたるレオンハルトは、その日初めて教会に遊びに来ていた。
 レオンハルトの両親は彼が幼い頃に事故で亡くなっており、ヴァイス公爵自らが育て親となっているため、レオンハルトは公爵の仕事を引き継ぐためにも視察のような形で仕事に触れていたのだ。

「君はみんなと一緒に遊ばないの?」
「う~ん。こるねりあはここでひなたぼっこがすきなの!」