クリスティーナはその言葉を聞いて、ああ、この二人はどちらも不器用で相手を想うが故に自分のことを本気で好きになるなんてことはないと想っているのかもと気づいた。
 彼女はふふっと笑いながら、言葉をかけた。

「もう、あなたはいい加減その臆病な根を直しなさい」

 クリスティーナはそう言いながら手をひらひらとして去っていく。

「臆病な性格……」

 彼女の残した言葉をつぶやきながらそのまま玄関にいるコルネリアを見つめる。

(うぬぼれてはいけない、そう思っていたが……)

 彼はコルネリアの気持ちを確かめるため、彼女のもとへと歩き出した──