「君は僕と会った時に、おかえりといったことを不思議そうにしてこちらを見つめていたね」
「はい、公爵様と会ったことがあるのでしょうか」
「ああ、あの時の君はまだ2歳で、僕は7歳だった。その日は春の日差しが暖かかったのを覚えているよ」

 自らの指と指を絡ませるようにして親指をわずかに動かすと、昔を懐かしむようにレオンハルトは語り始めた──