アンリは自らの右手を眺めて思う。
ゼシフィードに手をあげられる瞬間を見て、アンリの中の血がぶわっと沸き立った。
王宮衛兵の話を頼りにゼシフィードがエリーヌを自室へ連れ込んだことを知った彼は、今までに感じたことのないほどの嫉妬と怒りに駆られていた。
その右手はゼシフィードを殴りつけ、そうして牽制も含めて彼の顔の真横の壁を右手の拳で叩きつけた。
滴り落ちる血を見てエリーヌはそっと優しい手つきで自らのハンカチを彼の手に巻き付けたのだ。
(彼女の綺麗なハンカチを、汚してしまった)
真っ白い布に少し赤の指し色で刺繍の入ったハンカチは、血で汚れている。
彼女の純真無垢な心を汚してしまったように思えて、罪悪感に襲われた。
「──?」
何かコツンとぶつかるような音がして、音のしたほうを見る。
エリーヌがついに眠気に負けて窓に頭をくっつけて、身体を揺らして寝ていた。
眠っている顔を初めて見て、彼は軽く心臓の音を速めた。
(エリーヌが、寝てる!! え、可愛い……少し口が開いてる……え……可愛い……)
ゼシフィードに手をあげられる瞬間を見て、アンリの中の血がぶわっと沸き立った。
王宮衛兵の話を頼りにゼシフィードがエリーヌを自室へ連れ込んだことを知った彼は、今までに感じたことのないほどの嫉妬と怒りに駆られていた。
その右手はゼシフィードを殴りつけ、そうして牽制も含めて彼の顔の真横の壁を右手の拳で叩きつけた。
滴り落ちる血を見てエリーヌはそっと優しい手つきで自らのハンカチを彼の手に巻き付けたのだ。
(彼女の綺麗なハンカチを、汚してしまった)
真っ白い布に少し赤の指し色で刺繍の入ったハンカチは、血で汚れている。
彼女の純真無垢な心を汚してしまったように思えて、罪悪感に襲われた。
「──?」
何かコツンとぶつかるような音がして、音のしたほうを見る。
エリーヌがついに眠気に負けて窓に頭をくっつけて、身体を揺らして寝ていた。
眠っている顔を初めて見て、彼は軽く心臓の音を速めた。
(エリーヌが、寝てる!! え、可愛い……少し口が開いてる……え……可愛い……)