馬車は夜会を終えた二人を乗せて夜道を走っていた。
王都からどんどん離れていくについて見慣れた田舎の風景に変わっていく。
わずかに舗装が甘いこの道は少しばかり乗せている者の身体を揺らし、ガタンと馬車も縦によく跳ねた。
アンリは隣とウトウトと目を閉じかけているエリーヌをちらりと横目で見る。
(ああ……なんて可愛らしい……必死に眠気に耐えようとしているが、どうしても耐え切れずに瞬きを何度もして起こそうとしている)
エリーヌがなんとか意識を保とうとしているのを見て、何度も何度も心の中で可愛いという。
「……可愛い……」
ついに思わず口をついて出てしまった言葉にハッとして、アンリは口元に手をやる。
そーっと彼女のほうに視線を向けるも、彼女はこくこくとして彼の言葉を聞いていないようだった。
(よかった……聞かれていたら終わった……)
そう思ってふうと一息ついたのだが、そこで一つ自分の考えに疑問が湧いてきた。
(いや、夫婦なのだから愛を囁いてよいのではないか?)
王都からどんどん離れていくについて見慣れた田舎の風景に変わっていく。
わずかに舗装が甘いこの道は少しばかり乗せている者の身体を揺らし、ガタンと馬車も縦によく跳ねた。
アンリは隣とウトウトと目を閉じかけているエリーヌをちらりと横目で見る。
(ああ……なんて可愛らしい……必死に眠気に耐えようとしているが、どうしても耐え切れずに瞬きを何度もして起こそうとしている)
エリーヌがなんとか意識を保とうとしているのを見て、何度も何度も心の中で可愛いという。
「……可愛い……」
ついに思わず口をついて出てしまった言葉にハッとして、アンリは口元に手をやる。
そーっと彼女のほうに視線を向けるも、彼女はこくこくとして彼の言葉を聞いていないようだった。
(よかった……聞かれていたら終わった……)
そう思ってふうと一息ついたのだが、そこで一つ自分の考えに疑問が湧いてきた。
(いや、夫婦なのだから愛を囁いてよいのではないか?)