意識を失うときに彼女は一瞬誰かを思い浮かべた。
けれど、その顔はすぐに煙のように消えてしまってそうして彼女は意識を失った──
目を覚ました時には何か柔らかい感触の上にいることに気づいた。
エリーヌはぼうっとする意識の中でなんとか情報を得ようと辺りを見渡す。
高級なウッド家具にゴールドの指し色が月明かりに照らされて輝いている。
薄暗く明かりも灯っていないこの部屋に、エリーヌは見覚えがあった。
(ゼシフィード様の部屋……)
段々覚醒してきた頭に手を置き、目を閉じて思い返す。
(私、彼とダンスをしていてそれで……!)
そこまで思い出してベッドの横にその彼がいるのが見えた。
「エリーヌ、目が覚めたようだね」
シーツを手繰り寄せてベッドの上を這って逃げようとする。
しかし、薬で鈍ったその身体はいとも簡単に彼に捕まり、ベッドへと押し戻されてしまう。
「なにするの……!」
「なぜそんな私に逆らうような目をする? なあ?」
その瞳はどこか曇っていてそれでいて彼女を刺すような攻撃的な様相をしている。
「あなたこそ、ロラとうまくいってないの?」
けれど、その顔はすぐに煙のように消えてしまってそうして彼女は意識を失った──
目を覚ました時には何か柔らかい感触の上にいることに気づいた。
エリーヌはぼうっとする意識の中でなんとか情報を得ようと辺りを見渡す。
高級なウッド家具にゴールドの指し色が月明かりに照らされて輝いている。
薄暗く明かりも灯っていないこの部屋に、エリーヌは見覚えがあった。
(ゼシフィード様の部屋……)
段々覚醒してきた頭に手を置き、目を閉じて思い返す。
(私、彼とダンスをしていてそれで……!)
そこまで思い出してベッドの横にその彼がいるのが見えた。
「エリーヌ、目が覚めたようだね」
シーツを手繰り寄せてベッドの上を這って逃げようとする。
しかし、薬で鈍ったその身体はいとも簡単に彼に捕まり、ベッドへと押し戻されてしまう。
「なにするの……!」
「なぜそんな私に逆らうような目をする? なあ?」
その瞳はどこか曇っていてそれでいて彼女を刺すような攻撃的な様相をしている。
「あなたこそ、ロラとうまくいってないの?」