失態を恥ずかしそうに話す彼にそっと近づき、雑貨屋で買ってきたネックレスと手紙を渡した。

「これ……は?」
「ご迷惑でなければ受け取っていただけませんでしょうか?」
「開けても、いい?」
「はい」

 店主がつけてくれたシルバーのリボンを解き、中身をチラリと確認すると、手のひらに落とさないように袋から出す。

「これは……ルジュアル細工かい?」
「はい、やはりご存じなのですね」
「ああ、この地方の工芸品で俺はこれが好きなんだ。もしかして、君も?」
「はいっ! 一目で気に入ってしまいました!」

 エリーヌのなんとも嬉しそうな表情を見て、アンリは思わず顔をそむける。
 「可愛い……」といつもながらに小さな声で呟きながら、顔を手のひらで覆う。

「大丈夫ですか?」
「あ、ああ! 大丈夫だよ。これを俺に?」
「はい、実は……お揃いなんです」

 自分の首につけたピンクに光るネックレスを見せて恥ずかしそうに上目遣いに彼を見る。

「──っ!! おそ……ろい……!」
「すみませんっ! 嫌でしたよね? お気に召さなければディルヴァール様にお渡ししてもよいので」
「それは嫌だ」