自分の目の前に天使が降り立ったと思った──
アンリは心の中でそのように感じていた。
朝食の時間に遅れてしまうのはよくある事で、徹夜明けのぼうっとした頭のまま廊下を歩いていた。
それゆえに曲がり角の先から誰か出て来るかもという危機管理が失われ、そのままぶつかってしまった。
「──っ!!」
ぶつかった衝撃から自分よりも小さくて華奢な人間であると気づき、咄嗟に相手が転ばないように腕を伸ばした。
身体を支えているその彼女はアンリの顔を見上げた。
(見たことない人だ……)
そんな風にアンリは思っていると、後ろからディルヴァールの声がする。
「アンリ様っ!」
「旦那様でしょうか?」
彼女はアンリに対して言った。
「この娘は誰だ?」
「今朝もお話したアンリ様の奥様、エリーヌ様でございます」
「俺は、結婚したのか?」
「「はい??」」
◇◆◇
自分自身の失態を妻に見られ、そして部下になじられたその後、アンリはいつものように植物園兼研究室にこもっていた。
アンリは心の中でそのように感じていた。
朝食の時間に遅れてしまうのはよくある事で、徹夜明けのぼうっとした頭のまま廊下を歩いていた。
それゆえに曲がり角の先から誰か出て来るかもという危機管理が失われ、そのままぶつかってしまった。
「──っ!!」
ぶつかった衝撃から自分よりも小さくて華奢な人間であると気づき、咄嗟に相手が転ばないように腕を伸ばした。
身体を支えているその彼女はアンリの顔を見上げた。
(見たことない人だ……)
そんな風にアンリは思っていると、後ろからディルヴァールの声がする。
「アンリ様っ!」
「旦那様でしょうか?」
彼女はアンリに対して言った。
「この娘は誰だ?」
「今朝もお話したアンリ様の奥様、エリーヌ様でございます」
「俺は、結婚したのか?」
「「はい??」」
◇◆◇
自分自身の失態を妻に見られ、そして部下になじられたその後、アンリはいつものように植物園兼研究室にこもっていた。