しかもこれは世界でも数人しか歌うことができないといういわれる最高難易度の曲。
あらかじめ演奏のためにピアニストにだけ曲名を伝えていたが、彼女も実際に聞くのは初めてだった。
あまりに高度な歌声、そして感情の乗った素晴らしいそれは見事に人の心を刺した。
思わず聞き惚れて涙を流す人がいる中で、ゼシフィードは舞台上にずかずかと上がっていく。
「やめろ! やめろー!! なぜだ! なぜお前の声が出るんだ!! あいつの薬で声が……!」
「やはりあなたの仕業、あなたが糸を引いていたのですね」
「ち、違う! あれはお前に振りむいてほしくて!」
「振り向かせるためにその相手を傷つけるバカがどこにいる」
「な……アンリ……!」
舞台裏から出てきたアンリはエリーヌを守るようにして前に立つ。
夜会に合わせて、そしてエリーヌの紺色のドレスに合うタキシード。
「なんで、お前は呼んでないぞ!」
「いえ、殿下。あなたにはお話があるんですよ。今、この場に皆様にもご覧いただかないと」
そう言いながらアンリは語り始める。
あらかじめ演奏のためにピアニストにだけ曲名を伝えていたが、彼女も実際に聞くのは初めてだった。
あまりに高度な歌声、そして感情の乗った素晴らしいそれは見事に人の心を刺した。
思わず聞き惚れて涙を流す人がいる中で、ゼシフィードは舞台上にずかずかと上がっていく。
「やめろ! やめろー!! なぜだ! なぜお前の声が出るんだ!! あいつの薬で声が……!」
「やはりあなたの仕業、あなたが糸を引いていたのですね」
「ち、違う! あれはお前に振りむいてほしくて!」
「振り向かせるためにその相手を傷つけるバカがどこにいる」
「な……アンリ……!」
舞台裏から出てきたアンリはエリーヌを守るようにして前に立つ。
夜会に合わせて、そしてエリーヌの紺色のドレスに合うタキシード。
「なんで、お前は呼んでないぞ!」
「いえ、殿下。あなたにはお話があるんですよ。今、この場に皆様にもご覧いただかないと」
そう言いながらアンリは語り始める。