そうして彼女は目を閉じて歌い出すと、今度はさきほどとは打って変わってしっとりとした曲調の歌を奏でた。
「──っ!!」
少年は一瞬にして心を掴まれた。
(この子……なんて感情を揺さぶる……うた……)
少年が少女のほうを見ると、なんとも歌の精霊が乗り移ったかのように歌っていた。
本当に彼女が歌っているのか、とさえ思ったほど。
やがて歌い終わると、なんとも無邪気に微笑み、少年に感想を聞く。
「どうでしたか!?」
「ああ……すごいな。君の歌は幸福の音色だね」
「こうふく?」
「幸せって意味。あの奇跡の歌手と言われたジュリア様にも引けを取らない」
「すごいってことですか? えりーぬ、すごいの?」
あまり意味を理解できないが、なんとなく褒められていることを理解した彼女は嬉しそうに飛び跳ねる。
「ねえ、おにいさんはえっと……」
「アンリ」
「あ、アンリさま! おうたきいてくれて、ありがとうございます!」
「いいえ」
お辞儀をすると少女は近くに置いていた花を持って、彼に渡す。
「ねえ~これ、おにわにあったのですが、アンリさま、よかったら」
「──っ!!」
少年は一瞬にして心を掴まれた。
(この子……なんて感情を揺さぶる……うた……)
少年が少女のほうを見ると、なんとも歌の精霊が乗り移ったかのように歌っていた。
本当に彼女が歌っているのか、とさえ思ったほど。
やがて歌い終わると、なんとも無邪気に微笑み、少年に感想を聞く。
「どうでしたか!?」
「ああ……すごいな。君の歌は幸福の音色だね」
「こうふく?」
「幸せって意味。あの奇跡の歌手と言われたジュリア様にも引けを取らない」
「すごいってことですか? えりーぬ、すごいの?」
あまり意味を理解できないが、なんとなく褒められていることを理解した彼女は嬉しそうに飛び跳ねる。
「ねえ、おにいさんはえっと……」
「アンリ」
「あ、アンリさま! おうたきいてくれて、ありがとうございます!」
「いいえ」
お辞儀をすると少女は近くに置いていた花を持って、彼に渡す。
「ねえ~これ、おにわにあったのですが、アンリさま、よかったら」