翌朝早くに目が覚めたエリーヌは、何度か瞬きをして脳を起こそうとする。
 再び目を閉じた彼女はそのままもう一度眠ってしまいそうになった。

「おはようございます、エリーヌ様」
「……ロザリアさん?」
「さんは結構ですよ」
「でも私はまだ18の人生ひよっこですから」
「ふふ、寝ぼけていらっしゃるのですか? 私がそう呼んでほしいのです。お願いできませんか?」

 柔らかな微笑みをエリーヌに向けると、カーテンを開けて日の光を部屋に取り込む。

「う……」
「エリーヌ様は朝が苦手なのですね」
「はい……かなり」

 ロザリアはもう一度窓の方へ向かうと、もう一つ薄いカーテンをして戻って来る。
 いくらかましになった日差しの強さに、エリーヌはようやく身体を起こして立ち上がった。

「朝食が出来ておりますが、いかがいたしますか?」
「ええ、いただきます」
「では、お支度いたしますね。こちらにおかけください」

 椅子に座ったエリーヌの長い髪を梳いていく。
 綺麗な髪ですね、と言いながら優しい手つきで整える。