(私は、何のために歌うんだろう)
「君はきっと自分の身体で試してからルイスに、と言い出すだろうと思う。だけど、俺は君やルイスにもしものことがあったら……」
彼の言っていることは最もだ。
大事な人を何度も傷つけて、そして失ったこともある彼だからこそわかる苦しみ。
(もう二度と、彼を苦しめたくない……そのために死ぬわけにはいかない。でも……)
『どうして歌うの?』
エリーヌはその問いの答えを見つけるべく、アンリに頭を下げる。
「一晩だけ考えさせてください」
「ああ、ゆっくり考えてほしい。まだルイスには話さないでおくから」
アンリはそっと近づくとエリーヌの額にちゅっと唇をつける。
「アンリ様っ!?」
「俺はどんな君も受け止める。どんな君でも一緒にいたい。だから、君の決断を待つよ」
エリーヌは自分よりも背の高い彼を見上げて、微笑みながら頷いた。
「待っててください。私は、私と向き合ってきます」
微笑み返した彼にお辞儀をすると、そのまま自室へと向かった。
部屋の扉を閉めてゆっくりと月を眺める。
「君はきっと自分の身体で試してからルイスに、と言い出すだろうと思う。だけど、俺は君やルイスにもしものことがあったら……」
彼の言っていることは最もだ。
大事な人を何度も傷つけて、そして失ったこともある彼だからこそわかる苦しみ。
(もう二度と、彼を苦しめたくない……そのために死ぬわけにはいかない。でも……)
『どうして歌うの?』
エリーヌはその問いの答えを見つけるべく、アンリに頭を下げる。
「一晩だけ考えさせてください」
「ああ、ゆっくり考えてほしい。まだルイスには話さないでおくから」
アンリはそっと近づくとエリーヌの額にちゅっと唇をつける。
「アンリ様っ!?」
「俺はどんな君も受け止める。どんな君でも一緒にいたい。だから、君の決断を待つよ」
エリーヌは自分よりも背の高い彼を見上げて、微笑みながら頷いた。
「待っててください。私は、私と向き合ってきます」
微笑み返した彼にお辞儀をすると、そのまま自室へと向かった。
部屋の扉を閉めてゆっくりと月を眺める。