「どうかしましたか、アンリ様」
「できた……」
「え?」
「解毒薬ができた」
「本当ですか!?」
エリーヌはすぐさま彼に駆け寄ると、彼は小さな小瓶を持っていた。
その中には薄い紫色の液体が入っている。
「これが君の歌声を戻して、ルイスの目も治す薬のはずだ……」
「じゃあ……!」
「でも、安全性の保障がない」
「──っ!」
今まで見たことがないほどのこわばった表情を浮かべているアンリを見て、エリーヌにも緊張が走る。
今しがたできたばかりで治験もなされていないということだろうと、彼女は思った。
だが、実際には違った。
「これは毒草を一部混ぜ込んでいる」
その一言で少しの期間ではあるが、一緒に研究作業をしたエリーヌにはわかった。
(毒の成分が人体に及ぼす影響がわからない──)
もちろんこの薬を飲んだものは一人もいない。
立ち尽くすエリーヌに、アンリは問いかける。
「本当に君はもう一度歌いたい?」
「え?」
「君はどうして歌いたいの? もう歌う必要はないんじゃないの?」
確かにそうかもしれない、と彼女は夫に言われて初めて気づく。
「できた……」
「え?」
「解毒薬ができた」
「本当ですか!?」
エリーヌはすぐさま彼に駆け寄ると、彼は小さな小瓶を持っていた。
その中には薄い紫色の液体が入っている。
「これが君の歌声を戻して、ルイスの目も治す薬のはずだ……」
「じゃあ……!」
「でも、安全性の保障がない」
「──っ!」
今まで見たことがないほどのこわばった表情を浮かべているアンリを見て、エリーヌにも緊張が走る。
今しがたできたばかりで治験もなされていないということだろうと、彼女は思った。
だが、実際には違った。
「これは毒草を一部混ぜ込んでいる」
その一言で少しの期間ではあるが、一緒に研究作業をしたエリーヌにはわかった。
(毒の成分が人体に及ぼす影響がわからない──)
もちろんこの薬を飲んだものは一人もいない。
立ち尽くすエリーヌに、アンリは問いかける。
「本当に君はもう一度歌いたい?」
「え?」
「君はどうして歌いたいの? もう歌う必要はないんじゃないの?」
確かにそうかもしれない、と彼女は夫に言われて初めて気づく。