彼女一人の仕業なのか、なぜゼシフィードにあのような目にあわされていたのか。
 どうしても知りたいと願って、彼女は体調を気遣いながらゆっくりと口を開いた。

「ロラ、どこまでがあなたの仕業?」
「え?」
「私はあの日、歌声も婚約者も失って牢屋に入れられた。全部あなたがやったの?」
「そうね、あなたから全て奪ったのは私よ。変な魔術師からこの薬の匂いを至近距離で嗅がせればあなたの歌声をなくせると言われたの」
「魔術師……?」
「ええ、だからその魔術師から薬を受け取って、小瓶に入った液体をあなたに嗅がせたの」

 変な魔術師にそそのかされて親友が自分に危害を加えたことを知ったエリーヌは、魔術師に引っ掛かりを覚えるも、落胆した。

(やっぱりロラが私に……)

 間違いなく自分に向けられた悪意。
 彼女に嫉妬されて恨み合って壊れた友情──
 ロラは身体を大きく震わせながら、頭を下げた。

「申し訳ありませんでした」
「ロラ……」
「自分勝手な思いであなたを傷つけた。大切なものたくさん、たくさん奪った!! もう許されない。私は……もう……」