『そうよね!? もうお父様ったらこんなフリフリの衣装ばかり着せたがるのよ!?』
『ふふ、うちも一緒』
『やっぱり!? おじさまもエリーヌに昔からそういう服着せたがるわよね!』
『可愛いのもいいけど……』
『そろそろ私たちも魅惑の大人の女性歌手になりたいわよね! ジュリア様みたいな!!』
『そうね、ジュリア様は憧れだわ……』
『一緒になりましょう。ジュリア様のような──』


「真紅のドレスが似合う歌手に……」

 赤い文字で危機を知らせる手紙を握り締めて、少し浅く息を吐く。

(彼女にあの日、声を失った日。いえ、それより前からきっと嫌われてた。はめられた。私は……そう、だから本当なら私は、文句を言いたい。昔のようになんでも言い合えたあの時のように、私はあなたへの言葉を伝える)

 おもむろに立ち上がった彼女はロザリアを呼び、動かなくなった鷹を預ける。

「ロザリア、この子を診てもらえるかしら」
「かしこまりました」
「アンリ様、私はロラを恨んでいました」
「……」