大きな羽ばたきと共にダイニングに入り込んだ鷹は、そのまま天井をぐるりと一周するとそのままエリーヌの足元に落ちる。

「──っ!」

 すぐさましゃがみ込んでその鷹の様子を伺うも、疲れているのかそれとも力尽きたのか動かない。

「兄さん、あれ……」

 ルイスの指さし先である鷹の足には何か紙が括りつけられていた。
 エリーヌは紐で結ばれたその紙を取り上げてみる。
 手のひらのサイズで書状のように巻かれたそれを、ゆっくりとちぎれないように広げていく。

「──っ!」
「エリーヌ、どうした?」
「ロラが……」
「──?」
「ロラがゼシフィード様の手によって地下室に監禁されていて命が危ないと」

 今にもちぎれてしまいそうな弱々しい紙切れには、かつての親友の危機を知らせる文字が書かれていた。
 その文字は赤黒い血のようなもので書かれていた──