もう止まらない二人の弟の兄への愛──
 その兄の姿を思い出しては「可愛い」「可愛い」と言っていたことを知っていたロザリアは再び頭を抱える。

(ああ、彼の強すぎる愛が……愛が重いわ……)

 そんなロザリアの心の声ももはや届いていないようで、まだまだ話したりないといった様子で今度は可愛いといったエリーヌに標的を定める。

「お姉様にもおわかりになりますか!? この兄さんの可愛らしさが!」
「え、ええ……もうそれは……」
「ですよね!! 兄さんは昔植物を育ててたんですが、間引きの際に間違って雑草ではなく植物のほうを抜いてしまって……」
「ルイス!!」
「まあ、それで植物は……?」

 今からは想像もつかないような失敗をしている夫の昔話を興味深いと前のめりに聞き始める。

「エリーヌもそんな真剣に聞かなくていいから!」
「で、その雑草を大事に大事に育てていて……」
「では、いつか気づかれたのですか? ご自身の育てているのがざっそ……」
「もうその話はいいからあああーーーーーーー!!!!!!!」

 アンリの叫びがダイニング中に響き渡った。