それに彼女自身の好みにも合っていた──


 しばらくして部屋の扉をノックする音が聞こえたエリーヌは、どうぞと返事をする。
 先程言っていたメイドだろう20代前半くらいでエリーヌより少し年上の女性が紅茶を運んで来た。

「はじめまして。エリーヌ様のお世話をさせていただきます、ロザリアと申します。紅茶をお持ちいたしましたので、よかったらお召し上がりください」
「ありがとうございます。それと、よろしくお願いいたします。あの……アンリ様は……」

「夕食時には来られるかと思います」
「わかりました、ではその時にご挨拶を」
「かしこまりました」



 夕食の席についたエリーヌはどのような方が来るのかそわそわとしながら、アンリの到着を待っていた。

 しかしいくら待っても来なかった。
 しばらくしてやって来たのはディルヴァールだった。

「ディルヴァール様……?」
「ディルヴァールとお呼びください。アンリ様が仕事で来られないことになりまして、申し訳ございません」
「そうですか、ではまたお会いできるときを楽しみにしております、とお伝えください」
「かしこまりました。必ずお伝えいたします」