アンリは10歳程の少年であったが、彼女は覚えているのだろうか。
あんな小さくてたどたどしく話すような年齢だと覚えていないのではないか。
そう感じて彼はエリーヌに過去のことを話さずにすることにしてみた。
(あれから両親の遺品を整理したら、母からフェリシー夫人へ送った手紙も出てきた。改めてみてもやはりフェリシー夫人はエリーヌの母親で間違いない)
「アンリ様?」
気がつくと朝食が自分の前に並べられていて、食べ始めないアンリを不思議に思ってエリーヌが見ていた。
「ああ、ごめん。食べようか」
「はい! いただきます!」
彼女に気づかれないようにちらっと覗き見る。
ここへ来たときよりも表情も明るく思えるし、なんとなく感情がよく出ているように思う。
そんな風にアンリは心の中で思いながら、サラダをほおばる。
(う……これは、なんか香草が入っていたのか……)
アンリはあまり匂いのきつい食材は得意ではない。
いや、元々子供の頃は偏食で野菜自体を食べなかったが、シェフたちの努力のおかげで徐々に食べるようになった。
あんな小さくてたどたどしく話すような年齢だと覚えていないのではないか。
そう感じて彼はエリーヌに過去のことを話さずにすることにしてみた。
(あれから両親の遺品を整理したら、母からフェリシー夫人へ送った手紙も出てきた。改めてみてもやはりフェリシー夫人はエリーヌの母親で間違いない)
「アンリ様?」
気がつくと朝食が自分の前に並べられていて、食べ始めないアンリを不思議に思ってエリーヌが見ていた。
「ああ、ごめん。食べようか」
「はい! いただきます!」
彼女に気づかれないようにちらっと覗き見る。
ここへ来たときよりも表情も明るく思えるし、なんとなく感情がよく出ているように思う。
そんな風にアンリは心の中で思いながら、サラダをほおばる。
(う……これは、なんか香草が入っていたのか……)
アンリはあまり匂いのきつい食材は得意ではない。
いや、元々子供の頃は偏食で野菜自体を食べなかったが、シェフたちの努力のおかげで徐々に食べるようになった。