鉛筆の音だけが室内に鳴り響く。
青々と茂った生命力あふれるその植物を顔をあげて何度も確認しながら、キャンバスに反映させた。
裏庭からロザリアの手によって運ばれてきたそれは、今日は低めの器に身を投じている。
ルイスは瞬間、緑と緑の間から少しだけ顔を出している小さな白い花を見つめて、手に取ると優しく撫でた。
「これは……」
そう言いかけた瞬間に部屋の扉がゆっくりと開く音がした。
食事の時間でもない、お茶の時間でもない。
それにエリーヌは少し前に訪問して戻ったばかり。
不思議に思ったルイスは振り返って入口のほうをみやった。
「──っ!!」
「久しぶり、ルイス」
「兄さん……」
およそ5年ぶりの再会だった──
アンリは瞬きを速めながら自分の靴をちらりと見ては、気恥ずかしそうに大きな時計を見る。
ルイスはその赤い瞳を開いたまま、じっと兄の瞳が何度も閉じては開く姿を見つめる。
部屋の入口からゆっくりとした歩みでルイスに近づく。
待っていた彼は兄の目を見上げて、彼の頬へ手を伸ばす。
青々と茂った生命力あふれるその植物を顔をあげて何度も確認しながら、キャンバスに反映させた。
裏庭からロザリアの手によって運ばれてきたそれは、今日は低めの器に身を投じている。
ルイスは瞬間、緑と緑の間から少しだけ顔を出している小さな白い花を見つめて、手に取ると優しく撫でた。
「これは……」
そう言いかけた瞬間に部屋の扉がゆっくりと開く音がした。
食事の時間でもない、お茶の時間でもない。
それにエリーヌは少し前に訪問して戻ったばかり。
不思議に思ったルイスは振り返って入口のほうをみやった。
「──っ!!」
「久しぶり、ルイス」
「兄さん……」
およそ5年ぶりの再会だった──
アンリは瞬きを速めながら自分の靴をちらりと見ては、気恥ずかしそうに大きな時計を見る。
ルイスはその赤い瞳を開いたまま、じっと兄の瞳が何度も閉じては開く姿を見つめる。
部屋の入口からゆっくりとした歩みでルイスに近づく。
待っていた彼は兄の目を見上げて、彼の頬へ手を伸ばす。