しばらく二人で食事を楽しんだ後、エリーヌは彼の様子を伺いながら話題をふってみた。

「あの、ルイスさん」
「なんでしょうか」
「その、やっぱりここにずっといらっしゃるのは、目が原因ですか?」

 すると彼はフォークを置いて少し考え込むと、重苦しい表情ではなく笑顔で語り始めた。

「半分正解で、半分違います。目が原因で生活が一部不自由に感じる部分もあるから、というのももちろんです。でも」
「でも……?」
「臆病になってしまったんです。僕が。どうしても怖くなった。ここにいる間にどんどん外が怖くなって……外の世界に受け入れてもらえないんじゃないかって」
「……」
「それに、兄さんの目に自分が映る。そしたら罪悪感を感じてしまうんじゃないかって。兄さんを苦しめるんじゃないかって怖くて」
「ルイスさん……」

 彼は俯きがちにそう語ると、今度少しばかり顔を歪ませて唇を噛んだ。
 エリーヌはその言葉を聞き、彼に訴える。

「アンリ様は確かに苦しむかもしれません」
「……」
「でも、それよりもルイスさんが自由になれていないことに心を痛めているように私には思えました」