モブ「お、俺。もうちょっとそのテの情報集めてみるッス!アキトさんに苦労かける
わけにはいかないんで」
モブ「なんだよ!抜け駆けすんな!アキトさん。俺も協力します!」
俺は極力表情を崩さないまま答える
ア「ああ、好きにしろ。ただし、深みにハマるな。成憂会はカンのいい事で有名だ」
モブ「任せてくださいッス!」
モブ「なるべく早く、情報を集めてアキトさんに報告します」
ア「ああ・・・悪いな」
そして俺は集まった奴らに多少の労いを放った
モブ「アキトさん、これは?」
ア「俺が今日の夜行う【ソロライブ】チケットと、その・・・そのカネで
甘いものでも食ってろ、以上、解散!!」
どうせラディアント・ストリートの人間が展開するライブなんて誰も来やしない
コイツラだってそれを重々承知のはずだ
モブ「あ、ありがとうございます!ソロライブ、ちゃんと行きます!」
モブ「俺だって行く、お前ばっかいい顔すんな!タケル!」
みんな、ありがとな・・・
その夜
ラディアント・ストリートの地下ライブハウス
俺は、歌っていた。
一心不乱に
何かを忘れるように
覇気が無い
例えを使うならそんなところか
相変わらず集まる客は身内だけだ
新規の連中なんていやしない
ここは、俺たちのシマだから・・・
やはり覇気が無い
アイツの吸い寄せられるようなシャウト、ビブラート、透き通るような歌声が
今はない
だから
俺は一心不乱に歌う
アイツの事を思い出さぬように
嗚呼
トウヤ
お前は、どこにいるんだ
ライブのラスト
ア「ジェ”ギナ”ヴェ”イ”ヴェ”ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”」
ライブのラストを飾るような今の自分にできる限りのシャウトを仲間たちへ飛ばす
うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!
大歓声の中、今回のライブは終わりを告げた
ア「センキュー!」
うおおおおおおおおおおおおお!!!
そして俺は観客全員にコールする
ア「みんな、いつも【おれら】のライブに来てくれてありがとな。こう見えても
割とマジで感謝してるんだぜ?でよ」
俺は続ける
ア「それで、それでさ・・・お前らまだ。捨ててねえよな?今回のチケット」
当たり前だよ
何言ってんのさ
アキトさんからもらったものはなんでも俺らの宝物です!
そんな言葉が飛び交う
ア「お前ら・・・そういう事は・・・テメェを生んでくれた両親にいいやがれ!!」
そしてまた、俺は一呼吸おいた
ア「それで、今回のチケットだが」
観客全員が俺の言葉にかたずをのむ
ア「俺が今から手を二拍子叩いてその後ある言葉を言う。どうか続いてその言葉を
言ってほしい」
今夜のチケットを縦に破り捨てながら・・・だ