店員「こちら、トリメイプルケーキになり」
俺が名乗り上げる前にあいつは既に指示していた
ト「相方のです」
店員「承知いたしましたー。はい、どうぞ」
おっPバインバインの店員さんに注文していたものを置かれ、俺はつい生唾を
ゴクリと鳴らしてしまった
ヤバイ・・・バレたか?
ト「すいません、追加注文で食後のホットコーヒーお願いします、品種はモカで」
店員「かしこまりましたー」
おっPバインバイン店員の後ろ姿を確認した後、トウヤは俺に向き直る
ト「先ずは食べよう、いや食べながらでもいい」
流石に俺も今日のトウヤの挙動に疑問を抱き、不意打ちをかけてみた
ア「・・・解散の話か?」
その言葉を聞いてトウヤは注文していたショコラケーキをこぼして慌てていた
ア「今のお前、らしくねえよな。いつものインテリトウヤ君はどこ行ったんだ?」
ト「ゴホ!ゴホ!ちっちがう!!」
お前と別れるなんて有り得ない!
トウヤはそう言った
だろうな
俺だってお前と別れるなんて考えたくもねえ
ア「いいぞ、言えよ。お前の話が終わるまで、俺はおあずけ喰らった犬みてぇに
食わねえよ」
すまない
それだけ言ってトウヤは本題に入る
ト「成憂会せいゆうかいの事は知ってるな」
ア「ん?あぁ、確か俺らがライブの拠点にしてるラディアント・ストリートを
最近監視してるヤクザ共だったか?」
ト「知ってるなら話が早い、これはまだ、噂に過ぎないんだが」
トウヤはそこで一呼吸おいて
こういった
ト「成憂会は、ラディアント・ストリートを解体するつもりらしい」
俺は半ば感情的に叫び、立ち上がってしまっていた
ア「なんだって!?」
あまりにも大きな声で叫んでしまったのでトウヤもあくまで冷静に諭す
ト「静かに!兎に角座ってくれ」
ア「あ・・・あぁ」
ト「おそらく、これはあくまで俺の憶測だが・・・」
俺は今度こそ感情的にならないように努め、聞く
ト「数日後に、組の中堅共が夜の裏通りで殺害行為をするだろう、標的はわからない」
ア「・・・そうか」
あの知的で合理主義者なトウヤからは想像もできない言葉が次々と飛んでくる
こんな起こりもしない未来観測を、俺が信じる?
それこそ、馬鹿げてるよトウヤ
ア「で?その数日後って、いつだよ」
お前なら正確な数字出せるよな
嫌味を含んで俺は言う
ト「・・・3日後だ。・・・すまない」
トウヤは顔を覆う
ア「なにキめこんでんだよ、俺とお前の仲だろ?」
・・・そうだ。そうだよな
トウヤは自分に言い聞かせているようだった
ト「お前にこの話をできてよかった。どうかこの事は・・・」
言わねえよ
トウヤがすべて言い切る前に俺はストッパーをかける
ア「【あいつら】には絶対に言わない。女性にこの件を知られるわけには
いかねえんだろ?このフェミニストw」
ト「やっぱり、お前にこの件を話して正解だった」
ア「【守秘義務は守る】相手がお前なら尚更だ」
ト「頼む・・・」
食べよう
あいつは静かにそう言った
あー・・・ほんっとこういうところ。変わんねえよな
実直派で、不器用なところ
俺とコイツでBlood-Dogsを結成したあの日から
ア「はっ!お前のせいでせっかくのパンケーキが不味くなっちまうよ」
ト「すまない・・・」
こりゃ重症だな