次の日。
「てりゃー!!」
アイセルが魔法剣を派手に振りまわしながら、鹿の群れに突っこんでいく。
蹴散らされた鹿たちは我先にと一目散に逃げていった。
「おー、今日のアイセルはまた一段と気合が入ってるな」
元気いっぱいで鹿を追い払っているアイセルの雄姿を見守りながら、俺は感心しながらつぶやいた。
ちなみにアイセルが追い払っているのは魔獣ビッグ・アントラーではなく、ただの野生の鹿である。
山から群れで畑に下りてきては若い苗を食い荒らし、味をしめて周辺に居座ってしまったのを山に追い返すというクエストの真っ最中なのだ。
D級のクエストにはこういう害獣駆除なども用意されている。
と言うか割りと多い。
なんていうのかな。
冒険者ギルドそのものが、ヨロズ何でも屋みたいに世間から思われてるっていうか?
水道管の修理専門に特化した冒険者(?)なんてのもいるし。
地味だけどコンスタントに修理依頼のクエストが入るので、食いっぱぐれない──どころか割と高収入だとかなんとか。
ちなみに害獣駆除でも、冬眠明けで腹をすかせて凶暴になっているクマの駆除だけは、魔獣討伐となんら変わらないので気をつけないといけなかったりする。
まぁ冒険者ギルドがかなり手広くやってる話は今は置いといてだ。
鹿は基本的に憶病な動物なので、アイセルに蹴散らされると一目散に山へと向かって逃げていく。
でも途中で止まって戻ろうとする食い意地の張った個体もいるので、そいつらは特に入念にビビらせて追い返すのだ。
それでもどうしようもない個体に関しては、可哀そうだけど殺処分で。
ちなみに俺はアイセルの少し後ろでおたまと鍋を持って、キンキンカンカンと打ち鳴らしていた。
もちろん遊んでいるわけではない。
鹿はビビりで大きな音を嫌がるから、こうやって音による支援攻撃を行っているのだ。
「ふむ、そう考えると今日の俺はとても後衛職らしい仕事をしてる気がするな?」
珍しくクエスト中に仕事らしい仕事をして、ちょっとだけ気持ちよくなった俺だった。
そしてアイセルの奮闘もあって鹿は群れごと山へ帰って行った。
「よくやったな、お疲れさん。あとはこれを撒いたら終わりだ」
鹿の嫌がる肉食獣のフンを凝縮して固めたものをあちこちに撒いてから。
この辺りの畑を仕切っている村長さんに無事にクエストをこなした報告を入れて、俺たちはこの場を撤収した。
その日の夜。
「えへへ、今日も来ちゃいました」
アイセルが可愛らしい(エロくない普通の)寝間着姿で、俺の部屋へとやってきた。
ベッドの上でストレッチをしながら筋肉痛をほぐしていた俺の前まで来ると、
「今日もケースケ様と一緒に寝てもいいですか?」
アイセルははにかみながら尋ねてくる。
「まぁ昨日も一緒だったしな。1日も2日も変わらないか」
俺が笑ってベッドの上にスペースを作ると、
「ですよね! えへへ」
嬉しそうに笑って、アイセルは俺のベッドにころんと横になった。
そのまま嬉しそうに俺のことを見上げてくる。
なんとなく褒めて欲しそうなオーラを感じたので、
「今日のアイセルは一段と頑張ってたな、えらいぞ」
俺は優しく頭を撫で撫でしながらアイセルを褒めてあげた。
褒めて伸ばすのがケースケ=ホンダム流の育成術であるからして。
「はい、断固たる目標ができましたから」
「目標?」
「もちろんケースケ様の心を、アンジュさんから取り戻すっていう目標です。絶対にかなえてみせますから」
「え……お、うん、そうか……」
いやあの、いきなり面と向かってそんな風に言われると照れるじゃないか……。
「待っててくださいね。いつかきっと、わたしはケースケ様の心の一番星になってみせますから」
ニッコリと笑ってそう言ったアイセルは、
「ぅ――っ」
すごくすごく魅力的だった。
そしてそんなアイセルを見て俺の下半身がほんのわずか、少しだけだけどピクリと反応した――気がした。
一瞬だけど確かに感じたその感覚は、長らく感じることのなかった性的な興奮で――。
「てりゃー!!」
アイセルが魔法剣を派手に振りまわしながら、鹿の群れに突っこんでいく。
蹴散らされた鹿たちは我先にと一目散に逃げていった。
「おー、今日のアイセルはまた一段と気合が入ってるな」
元気いっぱいで鹿を追い払っているアイセルの雄姿を見守りながら、俺は感心しながらつぶやいた。
ちなみにアイセルが追い払っているのは魔獣ビッグ・アントラーではなく、ただの野生の鹿である。
山から群れで畑に下りてきては若い苗を食い荒らし、味をしめて周辺に居座ってしまったのを山に追い返すというクエストの真っ最中なのだ。
D級のクエストにはこういう害獣駆除なども用意されている。
と言うか割りと多い。
なんていうのかな。
冒険者ギルドそのものが、ヨロズ何でも屋みたいに世間から思われてるっていうか?
水道管の修理専門に特化した冒険者(?)なんてのもいるし。
地味だけどコンスタントに修理依頼のクエストが入るので、食いっぱぐれない──どころか割と高収入だとかなんとか。
ちなみに害獣駆除でも、冬眠明けで腹をすかせて凶暴になっているクマの駆除だけは、魔獣討伐となんら変わらないので気をつけないといけなかったりする。
まぁ冒険者ギルドがかなり手広くやってる話は今は置いといてだ。
鹿は基本的に憶病な動物なので、アイセルに蹴散らされると一目散に山へと向かって逃げていく。
でも途中で止まって戻ろうとする食い意地の張った個体もいるので、そいつらは特に入念にビビらせて追い返すのだ。
それでもどうしようもない個体に関しては、可哀そうだけど殺処分で。
ちなみに俺はアイセルの少し後ろでおたまと鍋を持って、キンキンカンカンと打ち鳴らしていた。
もちろん遊んでいるわけではない。
鹿はビビりで大きな音を嫌がるから、こうやって音による支援攻撃を行っているのだ。
「ふむ、そう考えると今日の俺はとても後衛職らしい仕事をしてる気がするな?」
珍しくクエスト中に仕事らしい仕事をして、ちょっとだけ気持ちよくなった俺だった。
そしてアイセルの奮闘もあって鹿は群れごと山へ帰って行った。
「よくやったな、お疲れさん。あとはこれを撒いたら終わりだ」
鹿の嫌がる肉食獣のフンを凝縮して固めたものをあちこちに撒いてから。
この辺りの畑を仕切っている村長さんに無事にクエストをこなした報告を入れて、俺たちはこの場を撤収した。
その日の夜。
「えへへ、今日も来ちゃいました」
アイセルが可愛らしい(エロくない普通の)寝間着姿で、俺の部屋へとやってきた。
ベッドの上でストレッチをしながら筋肉痛をほぐしていた俺の前まで来ると、
「今日もケースケ様と一緒に寝てもいいですか?」
アイセルははにかみながら尋ねてくる。
「まぁ昨日も一緒だったしな。1日も2日も変わらないか」
俺が笑ってベッドの上にスペースを作ると、
「ですよね! えへへ」
嬉しそうに笑って、アイセルは俺のベッドにころんと横になった。
そのまま嬉しそうに俺のことを見上げてくる。
なんとなく褒めて欲しそうなオーラを感じたので、
「今日のアイセルは一段と頑張ってたな、えらいぞ」
俺は優しく頭を撫で撫でしながらアイセルを褒めてあげた。
褒めて伸ばすのがケースケ=ホンダム流の育成術であるからして。
「はい、断固たる目標ができましたから」
「目標?」
「もちろんケースケ様の心を、アンジュさんから取り戻すっていう目標です。絶対にかなえてみせますから」
「え……お、うん、そうか……」
いやあの、いきなり面と向かってそんな風に言われると照れるじゃないか……。
「待っててくださいね。いつかきっと、わたしはケースケ様の心の一番星になってみせますから」
ニッコリと笑ってそう言ったアイセルは、
「ぅ――っ」
すごくすごく魅力的だった。
そしてそんなアイセルを見て俺の下半身がほんのわずか、少しだけだけどピクリと反応した――気がした。
一瞬だけど確かに感じたその感覚は、長らく感じることのなかった性的な興奮で――。