『七色のブレスを喰らいつくせ! 魔法戦士アイセルのレインボードラゴン討伐記念弁当』を食べて一服した後。
午後はみんなでアイセルのテーマ―パークを見て回ることにした。
ちなみにアイセルはご当地ということもあって、そのままだと激しく目立ってしまうので、麦わら帽子&伊達メガネで変装している。
「えっと、この格好変じゃないでしょうか?」
アイセルがメガネ越しに上目づかいで、おっかなびっくり聞いてきた。
「ふふっ、とてもよく似合ってるわよ。お忍び旅行中のお嬢さまみたいね」
「そうそう! アイセルさんは元がいいから何着ても似合うし!」
「だよな。アイセルは言葉遣いも丁寧だから、サクラよりもよっぽどいいとこのお嬢さまに見えるぞ」
三者三様ながら、しかし結論としては意見の一致をみるパーティ『アルケイン』の面々。
その反応にアイセルもホッと一安心したようだった。
しかし、
「あのねケイスケ。ケイスケはお嬢さまに夢を見過ぎなのよ。今度クローゼットにでも隠れて、お嬢さま女子会をこっそりのぞき見してみたら? 現実が分かるよ? ねえシャーリーさん」
サクラがそんなアホなことを言ってきた。
「うーん……?」
これにはシャーリーも苦笑いだ。
「って言うかそんなことしたら普通に捕まるだろ。完全に変質者だぞ……」
「もしケースケ様が捕まったら、わたしは差し入れを持っていきますね」
「いや、やらないし捕まらないからな? だからアイセルがそんな心配する必要はまったくないんだからね?」
「そうですか……」
「なんでそんなに残念そうな顔をするの……?」
いったいアイセルが何を思っているのか、俺が捕まる未来に心当たりでもあるのか。
その辺、少しだけ不安になった俺が尋ねてみると、
「そういえば差し入れという行為をしたことがないなと、思いまして。なのでせっかくだったら一度やってみたいなと」
なんでも自分で挑戦してみようという、向上心の塊なアイセルらしい答えが返ってきたのだった。
「ま、まぁもし捕まったらその時は頼むな……?」
「はい、お任せあれ!」
などと和気あいあいと話しながら、俺たちはまずは目についた大きな土産物屋に入ってみた。
【CASE.1】
「お、アイセルモデルの魔法剣リヴァイアスのレプリカ剣だ。ここでも売ってるんだな」
「これどこでも売ってるよね!」
「今も変わらずすごく人気みたいですね。見かけだけじゃなくて性能も良いみたいで、予備の2本目3本目を買うリピーターも多いって聞きました」
「扱ってるのは中央都市ミストラルでも有名な武器防具屋だもんな。お抱えの刀鍛冶も腕のいい職人ぞろいってわけか」
良い物を作る確固たる技術があり、そこにアイセルモデルと言う最高の宣伝がはまって大ヒットしたわけだ。
「これだけ売れれば、最初に魔法剣リヴァイアスを大出血サービスで売ってくれた元は、取れたでしょうか?」
「もうとっくに取れてると思うぞ。ほんと損して得取れとはよく言ったもんだよ」
「なら良かったです。恩を恩で返すことができました」
アイセルがにっこり笑って言った。
ううっ、ほんといい子だなぁもう。
【CASE.2】
「ねぇねぇアイセルさん、『アイセルの木剣』だって。これはなに?」
サクラがアイセルの名前を冠した木の剣を持って、軽く素振りしながらアイセルに質問した。
「多分ですけど、子供の頃にこんな感じの木の剣で剣術の練習してたんです。なのでそれをイメージしたお土産なんじゃないかと。でも懐かしいなぁ……」
言いながらアイセルはサクラから木剣を借りると、美しい所作で剣を振ってみせる。
その岩に染み入るような静かな声から察するに、木剣を振るアイセルの心はもしかしたら少しだけ子供時代に戻っていたのかもしれなかった。
大きく変わってしまったとはいえ、ここはアイセルの生まれ故郷だもんな。
ここにいるってだけで、色々と思ったり感じたりすることがきっとあるに違いない。
「久々の地元だもんな。やっぱり地元に帰ると、空気からして懐かしいもんだよ」
だから俺はそっとアイセルの心に寄り添うように、優しくそんな風に言ったのだった。
午後はみんなでアイセルのテーマ―パークを見て回ることにした。
ちなみにアイセルはご当地ということもあって、そのままだと激しく目立ってしまうので、麦わら帽子&伊達メガネで変装している。
「えっと、この格好変じゃないでしょうか?」
アイセルがメガネ越しに上目づかいで、おっかなびっくり聞いてきた。
「ふふっ、とてもよく似合ってるわよ。お忍び旅行中のお嬢さまみたいね」
「そうそう! アイセルさんは元がいいから何着ても似合うし!」
「だよな。アイセルは言葉遣いも丁寧だから、サクラよりもよっぽどいいとこのお嬢さまに見えるぞ」
三者三様ながら、しかし結論としては意見の一致をみるパーティ『アルケイン』の面々。
その反応にアイセルもホッと一安心したようだった。
しかし、
「あのねケイスケ。ケイスケはお嬢さまに夢を見過ぎなのよ。今度クローゼットにでも隠れて、お嬢さま女子会をこっそりのぞき見してみたら? 現実が分かるよ? ねえシャーリーさん」
サクラがそんなアホなことを言ってきた。
「うーん……?」
これにはシャーリーも苦笑いだ。
「って言うかそんなことしたら普通に捕まるだろ。完全に変質者だぞ……」
「もしケースケ様が捕まったら、わたしは差し入れを持っていきますね」
「いや、やらないし捕まらないからな? だからアイセルがそんな心配する必要はまったくないんだからね?」
「そうですか……」
「なんでそんなに残念そうな顔をするの……?」
いったいアイセルが何を思っているのか、俺が捕まる未来に心当たりでもあるのか。
その辺、少しだけ不安になった俺が尋ねてみると、
「そういえば差し入れという行為をしたことがないなと、思いまして。なのでせっかくだったら一度やってみたいなと」
なんでも自分で挑戦してみようという、向上心の塊なアイセルらしい答えが返ってきたのだった。
「ま、まぁもし捕まったらその時は頼むな……?」
「はい、お任せあれ!」
などと和気あいあいと話しながら、俺たちはまずは目についた大きな土産物屋に入ってみた。
【CASE.1】
「お、アイセルモデルの魔法剣リヴァイアスのレプリカ剣だ。ここでも売ってるんだな」
「これどこでも売ってるよね!」
「今も変わらずすごく人気みたいですね。見かけだけじゃなくて性能も良いみたいで、予備の2本目3本目を買うリピーターも多いって聞きました」
「扱ってるのは中央都市ミストラルでも有名な武器防具屋だもんな。お抱えの刀鍛冶も腕のいい職人ぞろいってわけか」
良い物を作る確固たる技術があり、そこにアイセルモデルと言う最高の宣伝がはまって大ヒットしたわけだ。
「これだけ売れれば、最初に魔法剣リヴァイアスを大出血サービスで売ってくれた元は、取れたでしょうか?」
「もうとっくに取れてると思うぞ。ほんと損して得取れとはよく言ったもんだよ」
「なら良かったです。恩を恩で返すことができました」
アイセルがにっこり笑って言った。
ううっ、ほんといい子だなぁもう。
【CASE.2】
「ねぇねぇアイセルさん、『アイセルの木剣』だって。これはなに?」
サクラがアイセルの名前を冠した木の剣を持って、軽く素振りしながらアイセルに質問した。
「多分ですけど、子供の頃にこんな感じの木の剣で剣術の練習してたんです。なのでそれをイメージしたお土産なんじゃないかと。でも懐かしいなぁ……」
言いながらアイセルはサクラから木剣を借りると、美しい所作で剣を振ってみせる。
その岩に染み入るような静かな声から察するに、木剣を振るアイセルの心はもしかしたら少しだけ子供時代に戻っていたのかもしれなかった。
大きく変わってしまったとはいえ、ここはアイセルの生まれ故郷だもんな。
ここにいるってだけで、色々と思ったり感じたりすることがきっとあるに違いない。
「久々の地元だもんな。やっぱり地元に帰ると、空気からして懐かしいもんだよ」
だから俺はそっとアイセルの心に寄り添うように、優しくそんな風に言ったのだった。