ユウトたち3人がダンジョン攻略を進めている最中、外の様子は――――

 武装した男たちに囲まれていた。

 この国の正規軍。 そして、中心にはモンド王。そして、息子のルオン王子がいた。

 2人の前に膝をつけるて報告する男、

「我が王、確かにダンジョンがありました」

 彼は軍を任さられた将軍であった。

「うむ……我が命を狙った賊の残党は、そこに逃げ込んだに違いない。警戒を怠るな。命令と同時に兵を動かさせ」

「はぁ!」と命令を受けた将軍は下がり、兵士に指示を出しに行った。

「流石ですな、父上」とルオン王子?

「うむ、何の事かのう?」

「軍事練習を兼ねた魔物狩り。賊が出現して、王を狙って襲う……軍を動かす理由には相応しい」

 無論、自作自演。 

 魔物狩りに突出して馬を駆けだしさせるモンド王。

 護衛も引き剥がされる。事前の命令通りに1人になり、仕込んでいた賊に矢を放たさせた。

 しかし、モンド王は、

「フッフッフ……何の事だか」と笑って誤魔化す。

 周囲にいるのは、腹心中の腹心。 それでも、全てを簡単には話さない。

「恐ろしい方ですね、父上は……」

 ルオン王子は周囲を見渡す。 軍事練習に5000の兵が武装して待機している。

「軍隊を相手にする『暴食』には、敵ながら同情をしますね」

 そういうルオン王子も笑っていた。

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・・

 一方、内部では――――

 闘技場の真ん中、使徒の女性が立っていた。 まだ幼さが残る小柄な女性だ。

 使徒と初めて対面するメイヴは緊張を高めている。

「……」と不穏な静寂。 沈黙を破ったのは、使徒の少女だった。

「あの……初めまして。私は、ここの使徒をしているセリアと言います」

 ペコリと頭を上げる様子につられて、メイヴも頭を下げる。

「姉さん、油断しないで。少女のように見えて、彼女たちは怪物のソレよ」

「メリス!? しょ、初対面の相手になんて事を言うの!」

「姉さん!」

「えっと……有資格者さまの言う通りですので、気にしませんよ」

「え?」とメイヴの声に反応したように、彼女の――――セリアの姿は変わっていく。

 彼女の背中は膨らんだかと思うと、次の瞬間には翼が徐々に、大きく広がった。

 その羽は彼女の両手と同化していく。さらに短く尖った爪がに生えてきた。

 その姿はハーピー 

 優雅に空を飛び、美しい美声で人間を誘惑する魔物。

 彼女は力強く翼を広げ、空高く――――闘技場の天井付近まで舞い上がっていった。

 彼女の羽ばたきの音がダンジョンに響き渡りっていった。

 それを見たメイヴは――――

「ユウト、助太刀はいりません。 メリスも……最初は私だけの力で試してみます」

「試してみますって、どうやって?」とユウトは、飛んでいるハーピーであるセリアを見た。

 かなりの高度。それも速い速度で旋回している。

 魔法剣士であるメイヴならば、攻撃可能なのだろうが……

「破っ!」とメイヴは駆け出したかと思ったら、観客席に向かい――――壁を蹴って天井付近まで駆け上って行った。

「そ、そのまま、逆さになった天井を走っている! どうやっているんだ? あれ!」と唖然とするユウト。 

 ハーピーであるセリアにとっても予想外の人間だったのだろう。 

「きゃ!」と悲鳴をあげて、メイヴに背を向けて逃げていく。

「そりゃ……怖いわな」と呆れるようにユウトは言った。 呆れるほどのメイヴの強さだった。

「この様子なら、メイヴに魔導書で強化する必要はなさそうだな」

「……どうでしょうね。相手は使徒よ。そんなに簡単には――――」

「参りました! ごめんなさい、参りました!」とセリアの声が響いた。

「……」と無言で顔を見合わせるメリスとユウト。

 メリスは「相手は使徒よ。負けたと油断させておいて――――」と彼女は最後までいえなかった。

 彼女の魔導書が輝き始めたからだ。
 
 そして、それはユウトたちの魔導書だけではなかった。

「父上、魔導書が輝いています。攻め込むのは戦いが終わった今が好機かと……」

 外を包囲するモンド王。しかし、本人は空を見上げ続けている。それから────

「将軍を呼べ」 

「既に控えております」と王たちのいる天幕へ入ってきた。

「将軍……わかっているな?」

「……無論、既に撤退の準備は済ませています」

「撤退!?」と状況がわからないルオン王子は1人驚く。

「なぜです? なぜ、撤退などと!」

「失礼ながら王子」と将軍は指を空に向けた。

 気づけば、ルオン王子以外の全員が空を見上げていた。

 まるで天気の様子を窺っているようにも見えたが……

 ルオン王子はようやく気づいた。

 空から巨大な影が接近してるのを……