エルフの里から、少し離れた場所。新しく魔導書に出現した地図を頼りに行く。
地図に書かれた目的。そこに近づくと水が叩きつけられているような音が響いている。
「ここかぁ……」とユウトは目的に到着。周囲を見渡した。
そこには滝があり、周囲に水が広がっている。 まさに大瀑布だ。
荒々しい滝の水は高々と舞い上がり、空中にでたらめな軌道で水しぶきを散らしながら、ゴツゴツとした岩肌を駆け下りる。
「なんて迫力だ。圧倒されている」
その姿はまるで自然界の威厳そのものだ。
滝壺には深い渦が広がり、水音が轟き響く。
周囲には苔むした岩や緑豊かな植物が茂り、滝の水しぶきに包まれながらも生命の息吹を感じる
それを見ながらユウトは――――
「――――いや、どこだよ!」
目的地はダンジョンだ。
周囲を歩き回ったが、それらしいダンジョンは見つからない。
「まさか、水の下にダンジョンが隠れているのか?」
「――――いや、そうじゃないな」とユウトは手を向けた。
そこは滝の方向だ。 それは冒険者のカンが導き出した答えかもしれない。
「詠唱 凍てつく極寒の風よ 静かに我の敵を閉ざせ――――冬嵐」
氷属性の魔法が滝とぶつかり、大瀑布を氷結させていく。
ユウトはコツコツと氷上を歩く。
「最近、この魔法で凍らせることで使うの多いな」と呟きながら、凍り付いた滝を下から見上げる。
「さて!」と、凍り付いた滝。氷の壁のようになったソレをユウトは叩き割った。
その先、空間が広がっているのが見えた。
滝の水しぶきに隠されていたダンジョン。奥深く広がる入口が姿を現す。
「ここがダンジョン……隠しダンジョンの入り口か」
左右上下には巨大な岩壁に囲まれた通路。
きっと、その暗がりは冒険者たちを引き寄せる魅力があるのだろう。
入口を進むと、外からの光は完全に閉ざされていく。
幽暗の中に広がる迷宮の光景が目に飛び込んでくる。 そこには、不気味な影が
――――おそらく死神の影ではないだろうか――――
闇の中に舞い踊っている気がした。
ユウトは松明を取り出して火をつけた。
「天然のダンジョンではない。人工的に建造されたダンジョンか」
平坦な地面。 周囲には建物――――区画整理された町のようにも見えた。
いや、かつては人間が住んでいたのだろう。 岩を削って作った建設物は独自に発展された文明の残りを感じさせる。
「過去に人間が暮らしてたとしても、どうやって? 外の滝からの湿気で、上から水が落ちてきてる」
ユウトが言う通り、生活するには不便な作りになっていた。
建物は少し濡れ、足元には水たまりができている。
「水分を排除する創意工夫があったのだろうけど……今となっては想像も難しいな」
周囲を警戒しながら、探知魔法を使用したユウト。
「――――いるな。向こうもこちらに気づいている」
魔物の存在に気づき、すぐさま臨戦態勢になる。
距離が近づいてくる。探知魔法で伝わる情報。
「この情報量は――――以前、戦った奴か。 しかし、まずいなぁ」
その言葉に反応したわけではないだろうが―――― 魔物は姿を現せた。
「この環境……火系魔法の効果が阻害されそうだ」
魔物の名前はトレント。 意思ある植物の魔物で有名であるが――――
ソイツは巨大ワニに寄生していた。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・
ドラゴンにも間違えるほどの巨大なワニ。全身に纏わりついている植物の鎧。
だが、間違えてはいけない。 本体は植物の鎧の方だ。
ユウトを敵と見なしたのだろう。
接近――――ヌルヌルと地面を走り出して、頭から噛り付こうと飛び掛かってきた。
地面を転がりながら、すぐさま反撃の杖を振るユウト。 得意の炎魔法――――
『炎剣』
魔物の巨大な体に攻撃魔法が叩き込まれた。 しかし、その効果は――――
「やっぱり、火系攻撃魔法は効果が薄いか……」
じゅー! と水分が蒸発するような音。 一瞬、巨大ワニの体に着火するも、すぐに消火された。
(ここは、湿気が多い場所。 身に纏った植物の鎧――――トレントに水分が大量に含まれていて炎が簡単に消えるのか)
加えて、先ほどの攻防でユウトは松明を手放していた。
松明は樹脂と油で、簡単に火が消えないように作られている物だ。
だが、水が周囲にある場所では、いつ消えておかしくない。
(探知魔法があるとは言え、真の暗闇で魔物と戦うのは愚行。決着を早めないと――――)
ユウトは短期決戦を目的に動き始めた。
地図に書かれた目的。そこに近づくと水が叩きつけられているような音が響いている。
「ここかぁ……」とユウトは目的に到着。周囲を見渡した。
そこには滝があり、周囲に水が広がっている。 まさに大瀑布だ。
荒々しい滝の水は高々と舞い上がり、空中にでたらめな軌道で水しぶきを散らしながら、ゴツゴツとした岩肌を駆け下りる。
「なんて迫力だ。圧倒されている」
その姿はまるで自然界の威厳そのものだ。
滝壺には深い渦が広がり、水音が轟き響く。
周囲には苔むした岩や緑豊かな植物が茂り、滝の水しぶきに包まれながらも生命の息吹を感じる
それを見ながらユウトは――――
「――――いや、どこだよ!」
目的地はダンジョンだ。
周囲を歩き回ったが、それらしいダンジョンは見つからない。
「まさか、水の下にダンジョンが隠れているのか?」
「――――いや、そうじゃないな」とユウトは手を向けた。
そこは滝の方向だ。 それは冒険者のカンが導き出した答えかもしれない。
「詠唱 凍てつく極寒の風よ 静かに我の敵を閉ざせ――――冬嵐」
氷属性の魔法が滝とぶつかり、大瀑布を氷結させていく。
ユウトはコツコツと氷上を歩く。
「最近、この魔法で凍らせることで使うの多いな」と呟きながら、凍り付いた滝を下から見上げる。
「さて!」と、凍り付いた滝。氷の壁のようになったソレをユウトは叩き割った。
その先、空間が広がっているのが見えた。
滝の水しぶきに隠されていたダンジョン。奥深く広がる入口が姿を現す。
「ここがダンジョン……隠しダンジョンの入り口か」
左右上下には巨大な岩壁に囲まれた通路。
きっと、その暗がりは冒険者たちを引き寄せる魅力があるのだろう。
入口を進むと、外からの光は完全に閉ざされていく。
幽暗の中に広がる迷宮の光景が目に飛び込んでくる。 そこには、不気味な影が
――――おそらく死神の影ではないだろうか――――
闇の中に舞い踊っている気がした。
ユウトは松明を取り出して火をつけた。
「天然のダンジョンではない。人工的に建造されたダンジョンか」
平坦な地面。 周囲には建物――――区画整理された町のようにも見えた。
いや、かつては人間が住んでいたのだろう。 岩を削って作った建設物は独自に発展された文明の残りを感じさせる。
「過去に人間が暮らしてたとしても、どうやって? 外の滝からの湿気で、上から水が落ちてきてる」
ユウトが言う通り、生活するには不便な作りになっていた。
建物は少し濡れ、足元には水たまりができている。
「水分を排除する創意工夫があったのだろうけど……今となっては想像も難しいな」
周囲を警戒しながら、探知魔法を使用したユウト。
「――――いるな。向こうもこちらに気づいている」
魔物の存在に気づき、すぐさま臨戦態勢になる。
距離が近づいてくる。探知魔法で伝わる情報。
「この情報量は――――以前、戦った奴か。 しかし、まずいなぁ」
その言葉に反応したわけではないだろうが―――― 魔物は姿を現せた。
「この環境……火系魔法の効果が阻害されそうだ」
魔物の名前はトレント。 意思ある植物の魔物で有名であるが――――
ソイツは巨大ワニに寄生していた。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・
ドラゴンにも間違えるほどの巨大なワニ。全身に纏わりついている植物の鎧。
だが、間違えてはいけない。 本体は植物の鎧の方だ。
ユウトを敵と見なしたのだろう。
接近――――ヌルヌルと地面を走り出して、頭から噛り付こうと飛び掛かってきた。
地面を転がりながら、すぐさま反撃の杖を振るユウト。 得意の炎魔法――――
『炎剣』
魔物の巨大な体に攻撃魔法が叩き込まれた。 しかし、その効果は――――
「やっぱり、火系攻撃魔法は効果が薄いか……」
じゅー! と水分が蒸発するような音。 一瞬、巨大ワニの体に着火するも、すぐに消火された。
(ここは、湿気が多い場所。 身に纏った植物の鎧――――トレントに水分が大量に含まれていて炎が簡単に消えるのか)
加えて、先ほどの攻防でユウトは松明を手放していた。
松明は樹脂と油で、簡単に火が消えないように作られている物だ。
だが、水が周囲にある場所では、いつ消えておかしくない。
(探知魔法があるとは言え、真の暗闇で魔物と戦うのは愚行。決着を早めないと――――)
ユウトは短期決戦を目的に動き始めた。