見えてきたアサルトホーネットの巣。 それに対してユウトは――――
「本当に、どういう生物なんだ?」
それは生物のようにしか見えなかった。 巨大蜂であるアサルトホーネットの巣もまた、巨大な物体だった。
蜂が入り込む六角形のセル。 それが連続的に重ねられて階層的な建造物(?)
そこまでは、ユウトの知る蜂の巣と同等。 しかし、その巣には手足が生えているのだ。
「メイヴたちは、あの生物をなんて呼んでいる?」
「私たちエルフの間では、ヴェスパルズバズと呼ばれていますが……少々、言い難いですね」
「じゃ、ルズバズって呼ぼう。どうやって戦う?」
冒険者で言う斥候なのだろうアサルトホーネットが巣であるルズバズを守るように飛んでいる。
そして――――
「気づかれた。 メイヴは前衛を頼む!」
「はい、承知しました」と彼女は飛び出す。 メイヴは剣士――――魔法剣士だ。
迫り来るアサルトホーネットを切り払いながら、ルズバスへ接近。
ユウトもそれを支援するために後ろからついて行く。
一気に蜂の巣への道が開けた。
ルズバスは先行するメイヴに向かって、巨拳を振り落とした。
回避――――それと同時に彼女の剣がルズバズの腕を走る。
「――――っ メイヴの剣技でも簡単に腕を切断できない堅さがるのか!」
「炎剣《イグニスグラディウス》」
少し離れた場所から炎系魔法を叩き込んだ。しかし、その手ごたえは少ない。
「やっぱり硬い。だったら――――硬くても関係ない魔法を叩き込む!」
ユウトは詠唱を開始する。
「詠唱 凍てつく極寒の風よ 静かに我の敵を閉ざせ――――冬嵐」
敵を氷結するために放つ魔法。 広範囲で、巨大魔物すら封印する。
だが、その大技と言える魔法攻撃も効果は薄かった。
ギロリとないはずのルズバズの目がメイヴから、ユウトに向けらてた。
「――――怒らせたかな?」と少しだけ焦る。
彼の重装備とされる装甲だが、あの巨大な拳を叩きつけられたら簡単に中身ごと潰されてしまうだろう。
そうはさせまいと、前衛のメイヴが横から飛び込んでくる。
「付加魔法 剣に雷を!」
「斬」と雷を纏った剣でルズバズを斬りつけた。
「速い!」と思わずユウトは絶賛の声を飛ばす。
魔剣と化した彼女の斬撃。普段の鋭敏で華麗な剣技に、剛剣の如く破壊力を付け加えさせた。
破壊音と共にルズバズの腕が崩れ落ちていく。 そこで初めてユウトはルズバズ――――蜂の巣が、どのような魔物なのか理解した。
「コイツ……正体はゴーレムなのか!? アサルトホーネットがゴーレムに巣を作っているだけ?」
彼の驚きは正しい。
人工的な魔物と入れるゴーレム。 森に生息するアサルトホーネット。
この2つの魔物が共存関係を結ぶことによって生まれた魔物こそが蜂の巣の正体だったのだ。
驚愕するユウトではあったが……
「なるほど……ゴーレムか。それじゃ戦い方はある!」
ゴーレムは人型である。ルズバズの形状に騙されるかも知れないが、蜂の巣を身に纏った中身は人型の魔物。
「なら、重心を崩すように足から攻撃開始する! ――――『炎剣』」
その巨体は確かにぐらついた。しかし、それ以上の効果は見えない。
狙いをメイヴから、ユウトに変更したルズバズは拳を叩き落した。
回避。 しかも、ユウトはこのタイミングを狙っていた。
『炎剣』
ルズバズは攻撃のため、大きな体を前に体を屈める。その瞬間に狙いを定め、膝裏に魔法を叩き込んだ。
大きなルズバズの体は転倒。 中のアサルトホーネットが騒がしいように外に出る。
これは予想外。
「ちょっとヤバいかもしれない」
だが――――
「問題はありません」とユウトを庇うようにメイヴが前に立つ。
「貴方を狙うアサルトホーネットは、私が斬り倒していきます。ユウトは、ルズバズ討伐に集中してください」
その剣技は、まるで結界のようだった。視界を覆いユウトたちを襲おうとするアサルトホーネットたちは接近するだけで、斬り倒されていく。
「これなら――――よし!」とユウトは詠唱開始。
「詠唱 我が手に宿る炎の力よ 今こそ力を見せて焼き払え――――『炎剣』」
詠唱により強化された炎の魔法が、今も立ち上がろうとするルズバズに直撃。
身に纏っている蜂の巣を全て吹き飛ばされ、中身であるゴーレムが姿を――――正体を現す。
しかし、ユウトが放った最大の一撃。 そのまま、ゴーレムとして機能が停止して、崩れ落ちた。
もう二度とゴーレムは動く事はないだろう。
「ふぅ……」と緊張した体と精神を解きほぐすように息を吐いた。
その横で、トットットッとメイヴが駆け出した。
(もしや、取り溢しか? まだ、魔物が隠れている?)
しかし、そうではなかった。彼女の目的は、爆散したゴーレムの跡――――
「おっと、無事なものがありました。これは良いお土産になります」
両手に持ち上げたのは、砕け散った蜂の巣の一部。 どうやら、彼女の目的は巣の中に残ったドロリと粘り気のある液体――――蜂蜜のようだ。
「美味しいのですが、買うといい値段になるのですよね」と彼女は笑顔を見せた。
「本当に、どういう生物なんだ?」
それは生物のようにしか見えなかった。 巨大蜂であるアサルトホーネットの巣もまた、巨大な物体だった。
蜂が入り込む六角形のセル。 それが連続的に重ねられて階層的な建造物(?)
そこまでは、ユウトの知る蜂の巣と同等。 しかし、その巣には手足が生えているのだ。
「メイヴたちは、あの生物をなんて呼んでいる?」
「私たちエルフの間では、ヴェスパルズバズと呼ばれていますが……少々、言い難いですね」
「じゃ、ルズバズって呼ぼう。どうやって戦う?」
冒険者で言う斥候なのだろうアサルトホーネットが巣であるルズバズを守るように飛んでいる。
そして――――
「気づかれた。 メイヴは前衛を頼む!」
「はい、承知しました」と彼女は飛び出す。 メイヴは剣士――――魔法剣士だ。
迫り来るアサルトホーネットを切り払いながら、ルズバスへ接近。
ユウトもそれを支援するために後ろからついて行く。
一気に蜂の巣への道が開けた。
ルズバスは先行するメイヴに向かって、巨拳を振り落とした。
回避――――それと同時に彼女の剣がルズバズの腕を走る。
「――――っ メイヴの剣技でも簡単に腕を切断できない堅さがるのか!」
「炎剣《イグニスグラディウス》」
少し離れた場所から炎系魔法を叩き込んだ。しかし、その手ごたえは少ない。
「やっぱり硬い。だったら――――硬くても関係ない魔法を叩き込む!」
ユウトは詠唱を開始する。
「詠唱 凍てつく極寒の風よ 静かに我の敵を閉ざせ――――冬嵐」
敵を氷結するために放つ魔法。 広範囲で、巨大魔物すら封印する。
だが、その大技と言える魔法攻撃も効果は薄かった。
ギロリとないはずのルズバズの目がメイヴから、ユウトに向けらてた。
「――――怒らせたかな?」と少しだけ焦る。
彼の重装備とされる装甲だが、あの巨大な拳を叩きつけられたら簡単に中身ごと潰されてしまうだろう。
そうはさせまいと、前衛のメイヴが横から飛び込んでくる。
「付加魔法 剣に雷を!」
「斬」と雷を纏った剣でルズバズを斬りつけた。
「速い!」と思わずユウトは絶賛の声を飛ばす。
魔剣と化した彼女の斬撃。普段の鋭敏で華麗な剣技に、剛剣の如く破壊力を付け加えさせた。
破壊音と共にルズバズの腕が崩れ落ちていく。 そこで初めてユウトはルズバズ――――蜂の巣が、どのような魔物なのか理解した。
「コイツ……正体はゴーレムなのか!? アサルトホーネットがゴーレムに巣を作っているだけ?」
彼の驚きは正しい。
人工的な魔物と入れるゴーレム。 森に生息するアサルトホーネット。
この2つの魔物が共存関係を結ぶことによって生まれた魔物こそが蜂の巣の正体だったのだ。
驚愕するユウトではあったが……
「なるほど……ゴーレムか。それじゃ戦い方はある!」
ゴーレムは人型である。ルズバズの形状に騙されるかも知れないが、蜂の巣を身に纏った中身は人型の魔物。
「なら、重心を崩すように足から攻撃開始する! ――――『炎剣』」
その巨体は確かにぐらついた。しかし、それ以上の効果は見えない。
狙いをメイヴから、ユウトに変更したルズバズは拳を叩き落した。
回避。 しかも、ユウトはこのタイミングを狙っていた。
『炎剣』
ルズバズは攻撃のため、大きな体を前に体を屈める。その瞬間に狙いを定め、膝裏に魔法を叩き込んだ。
大きなルズバズの体は転倒。 中のアサルトホーネットが騒がしいように外に出る。
これは予想外。
「ちょっとヤバいかもしれない」
だが――――
「問題はありません」とユウトを庇うようにメイヴが前に立つ。
「貴方を狙うアサルトホーネットは、私が斬り倒していきます。ユウトは、ルズバズ討伐に集中してください」
その剣技は、まるで結界のようだった。視界を覆いユウトたちを襲おうとするアサルトホーネットたちは接近するだけで、斬り倒されていく。
「これなら――――よし!」とユウトは詠唱開始。
「詠唱 我が手に宿る炎の力よ 今こそ力を見せて焼き払え――――『炎剣』」
詠唱により強化された炎の魔法が、今も立ち上がろうとするルズバズに直撃。
身に纏っている蜂の巣を全て吹き飛ばされ、中身であるゴーレムが姿を――――正体を現す。
しかし、ユウトが放った最大の一撃。 そのまま、ゴーレムとして機能が停止して、崩れ落ちた。
もう二度とゴーレムは動く事はないだろう。
「ふぅ……」と緊張した体と精神を解きほぐすように息を吐いた。
その横で、トットットッとメイヴが駆け出した。
(もしや、取り溢しか? まだ、魔物が隠れている?)
しかし、そうではなかった。彼女の目的は、爆散したゴーレムの跡――――
「おっと、無事なものがありました。これは良いお土産になります」
両手に持ち上げたのは、砕け散った蜂の巣の一部。 どうやら、彼女の目的は巣の中に残ったドロリと粘り気のある液体――――蜂蜜のようだ。
「美味しいのですが、買うといい値段になるのですよね」と彼女は笑顔を見せた。