地面に薄いゴザを敷くと2人は座り込んだ。
「これ……作ってきました。お弁当――――サンドイッチですが」
「あぁ、ありがとう」とユウトは平然を装ったが、内心ではドキッとした。
気づけば、いつの間にか背中からエイムが消えていた。 彼女なりに気を利かせたのかもしれない。
「これ、飲み物です」とメイヴは、取り出した鉄の筒からコップへ、中身を注ぐ。
「へぇ、珈琲とサンドイッチか」
「はい、店主からお好きだと聞きました」
彼女が手に持つコップから、豆の香りが漂いながら湯気を立てている。
それを渡されるユウト。温かさが手に伝わり、心地よい気分を与えます
ユウトは珈琲で喉を潤す。 疲労回復を目的としているのか、多めの砂糖が入れられているようだ。
焙煎された豆の苦味を程よく砂糖の甘さが包み込み、口の中に広がる味わいはまさに絶妙。
(珈琲には疲労の軽減、集中力向上……あと、どんな効果があったかな?)
そんな思考の余裕。 心体共にリラックスをしている証だ。
続けて、メイヴから手渡されたのは、
「これが、サンドイッチ……カツサンドです」と出てきたのは大きめのパン。それに具材が少しだけ見えている。
冒険中の小休憩に食するには、大きすぎる量ではあるが、ユウトには無用の心配だろう。
「いただきます」と齧り付いた。
柔らかくて甘いパン。 しかし、中に挟まれている豚肉の弾力に思いがけぬカウンターを受ける。
「衣のサクサク感。それでカツには強めの弾力がある。それに味噌ソースの甘みと塩味が同時に存在することで味覚に刺激を――――いや、単純に美味しいよ!」
「本当ですか!」とメイヴ。 普段、凛とした彼女の表情はユウトの言葉によって破顔された。
「うん! 美味しい」と食を進めていくユウト。
(ソースは味噌だけではないな。これは辛味とクリーミーさが絶妙な……からしマヨネーズか?)
ピリッとした辛みの刺激が味覚を活性化させていく感覚。
鋭敏になった舌は、カツサンドの深淵に潜っていく。
(キャベツ……このシャキシャキ感と瑞々しさが、カツの重さを感じさせず、より食べやすさを増してる)
食べても、食べても、簡単に尽きることのない量。
何より食べる事で得られる多好感。 それらはユウトを飢餓感を満たして――――
「ごちそうさま」とユウトは完食した。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・
長時間、徒歩による移動。長旅の疲労感があったのかもしれない。
加えて、大型魔物との戦闘もあり、ユウトの疲労は自身が思っているよりも大きかったのかもしれない。
「少し、仮眠を取らせてもらうよ。20分だけ」と横になった。
きっかり20分。 ユウトは目を覚ます。
感じていたけだるさは、もうない。 短時間の睡眠で体力を回復させた。
「よし、行こう。 アサルトホーネットの巣を破壊するぞ!」
「はい! 行きましょう」とメイヴも準備をする。
しばらく探知魔法で警戒を強めて進んで行く。すると――――
「メイヴ、探知魔法に反応があった」
「巣が近いみたいですね」
「あぁ、いや待てよ」と彼は足を止めた。
「どうかしましたか、ユウト?」
「ん~ 巣に生物反応がある」
「それは当然の事ではないのですか?」とメイヴは首を傾げた。
「いや、巣にいるアサルトホーネットの生命反応ではなく――――これは!」
「どうしました!?」
「アサルトホーネットの巣が移動している。この形状……歩いてる!?」
「それは歩くでしょ?」とメイヴは当然のように答えた。
「ん? 待ってくれ……その、アサルトホーネットの巣って――――生物なのか?」
その奇妙な問いに、メイヴは
「はい、生物ですよ」と当然のように答えた。
ユウトは想像が難しかった。 探知魔法で得た情報から、アサルトホーネットの巣は生物であり――――手足が生えて歩き回っている。
「……一体、どんな生物なんだ?」
頭に疑問符を浮かべながら、アサルトホーネットの巣に向かって行く。
森、あるいは山で気をつけないといけないのは人の匂いだ。
そこに住む魔物は人の匂いに敏感だ。 人の匂いとは――――単純に人間が出す匂いのことではない。
それは人の手が入った洗剤や金属の匂い。自然界には存在しない匂いのことだ。
だから、それが漂ってきた時、魔物たちは過剰な警戒をして――――人を殺す。
自然と共に生きるエルフのメイヴには、人の匂いが薄い。 だが、ユウトは違う。
だから、魔物たちはユウトに向かって――――
「問題ない。どんなに速い動きの魔物だって、それ以上の速度で攻撃をすれば――――『風斬』」
ユウトに集まって来るアサルトホーネットは無残にも切れ裂かれて地面に落下していった。
「これ……作ってきました。お弁当――――サンドイッチですが」
「あぁ、ありがとう」とユウトは平然を装ったが、内心ではドキッとした。
気づけば、いつの間にか背中からエイムが消えていた。 彼女なりに気を利かせたのかもしれない。
「これ、飲み物です」とメイヴは、取り出した鉄の筒からコップへ、中身を注ぐ。
「へぇ、珈琲とサンドイッチか」
「はい、店主からお好きだと聞きました」
彼女が手に持つコップから、豆の香りが漂いながら湯気を立てている。
それを渡されるユウト。温かさが手に伝わり、心地よい気分を与えます
ユウトは珈琲で喉を潤す。 疲労回復を目的としているのか、多めの砂糖が入れられているようだ。
焙煎された豆の苦味を程よく砂糖の甘さが包み込み、口の中に広がる味わいはまさに絶妙。
(珈琲には疲労の軽減、集中力向上……あと、どんな効果があったかな?)
そんな思考の余裕。 心体共にリラックスをしている証だ。
続けて、メイヴから手渡されたのは、
「これが、サンドイッチ……カツサンドです」と出てきたのは大きめのパン。それに具材が少しだけ見えている。
冒険中の小休憩に食するには、大きすぎる量ではあるが、ユウトには無用の心配だろう。
「いただきます」と齧り付いた。
柔らかくて甘いパン。 しかし、中に挟まれている豚肉の弾力に思いがけぬカウンターを受ける。
「衣のサクサク感。それでカツには強めの弾力がある。それに味噌ソースの甘みと塩味が同時に存在することで味覚に刺激を――――いや、単純に美味しいよ!」
「本当ですか!」とメイヴ。 普段、凛とした彼女の表情はユウトの言葉によって破顔された。
「うん! 美味しい」と食を進めていくユウト。
(ソースは味噌だけではないな。これは辛味とクリーミーさが絶妙な……からしマヨネーズか?)
ピリッとした辛みの刺激が味覚を活性化させていく感覚。
鋭敏になった舌は、カツサンドの深淵に潜っていく。
(キャベツ……このシャキシャキ感と瑞々しさが、カツの重さを感じさせず、より食べやすさを増してる)
食べても、食べても、簡単に尽きることのない量。
何より食べる事で得られる多好感。 それらはユウトを飢餓感を満たして――――
「ごちそうさま」とユウトは完食した。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・
長時間、徒歩による移動。長旅の疲労感があったのかもしれない。
加えて、大型魔物との戦闘もあり、ユウトの疲労は自身が思っているよりも大きかったのかもしれない。
「少し、仮眠を取らせてもらうよ。20分だけ」と横になった。
きっかり20分。 ユウトは目を覚ます。
感じていたけだるさは、もうない。 短時間の睡眠で体力を回復させた。
「よし、行こう。 アサルトホーネットの巣を破壊するぞ!」
「はい! 行きましょう」とメイヴも準備をする。
しばらく探知魔法で警戒を強めて進んで行く。すると――――
「メイヴ、探知魔法に反応があった」
「巣が近いみたいですね」
「あぁ、いや待てよ」と彼は足を止めた。
「どうかしましたか、ユウト?」
「ん~ 巣に生物反応がある」
「それは当然の事ではないのですか?」とメイヴは首を傾げた。
「いや、巣にいるアサルトホーネットの生命反応ではなく――――これは!」
「どうしました!?」
「アサルトホーネットの巣が移動している。この形状……歩いてる!?」
「それは歩くでしょ?」とメイヴは当然のように答えた。
「ん? 待ってくれ……その、アサルトホーネットの巣って――――生物なのか?」
その奇妙な問いに、メイヴは
「はい、生物ですよ」と当然のように答えた。
ユウトは想像が難しかった。 探知魔法で得た情報から、アサルトホーネットの巣は生物であり――――手足が生えて歩き回っている。
「……一体、どんな生物なんだ?」
頭に疑問符を浮かべながら、アサルトホーネットの巣に向かって行く。
森、あるいは山で気をつけないといけないのは人の匂いだ。
そこに住む魔物は人の匂いに敏感だ。 人の匂いとは――――単純に人間が出す匂いのことではない。
それは人の手が入った洗剤や金属の匂い。自然界には存在しない匂いのことだ。
だから、それが漂ってきた時、魔物たちは過剰な警戒をして――――人を殺す。
自然と共に生きるエルフのメイヴには、人の匂いが薄い。 だが、ユウトは違う。
だから、魔物たちはユウトに向かって――――
「問題ない。どんなに速い動きの魔物だって、それ以上の速度で攻撃をすれば――――『風斬』」
ユウトに集まって来るアサルトホーネットは無残にも切れ裂かれて地面に落下していった。