魔力によって引き寄せられるユウトの体。
もはや魔法の隠蔽は不要ということか? 変形した腕と大剣は魔力の色――――赤く染まっていた。
ユウトの必死の抵抗の無意味。 その力には抗いがたさを感じている。
体が引き寄せられるにつれ、必死に足を踏ん張る。それも虚しい。
彼は瞬時に自身を守る魔法の盾を展開――――
『炎壁』」
だが、無意味。 ミカエルの刺突はそれを貫き、ユウトの体に剣先を刺し込んでいく。
「――――うっ! がぁ!」と激痛が身体を駆け巡る。
思わずユウトが痛みを声に出すが―――― 彼は闘志を失わずに魔法を繰り出し、反撃を試みる。
しかし、
「くっ!? 痛っ!」と傷口から鮮血が滲み出し、その動きは鈍くなる。
反撃の動きが大きく乱れた。 もはや、ユウトは反撃もままならず。
逆にミカエルは攻撃の手を加えてきた。 大剣による無慈悲な一撃。
ユウトが次撃を躱せたのは幸運か? 実力か?
地を這うような動きで、その攻撃も辛うじて避ける。
傷口の痛みによって動揺し、攻撃を仕掛けるタイミングを逃してしまった彼。
「だが、今度こそは!」
苦悶の表情を浮かべながら、自身の魔法に集中しようとする。
今度はミカエルが間に合わない番だった。
大剣による斬撃。 大盾により打撃。 あるいは、怪物化した腕を武器に使うか――――いや、どれも間に合わない。
だから、ユウトの攻撃は叩き込まれた。
『風斬』 ――――風による乱撃がミハエルに叩き込まれる。
ここで、『炎剣』を選択しなかったのは、斬撃を与える以上に風の衝撃による吹き飛ばし効果を期待しての選択。
事実、ミカエルの肉体は吹き飛ばされた。
遠距離を得意とする魔法使いの間合い――――しかし、すぐさま立ち上がったミカエルは、腕を赤く光らせる。
磁力魔法の使用だ。 無理やり、ユウトを引き寄せて間合いを潰しにかかる。
「くっ!」と抵抗するユウト。 だが、無意味だろう。
ミカエルが使う、対象を引き寄せる魔法の効果。 それを抗うのは、精々は遅延目的くらい。 しかし、最初からユウトの目的は遅延だった。
「残念だが、その魔法は既に見せて貰っている!」
ミカエルは気づかなかった。 ユウトの体に隠れて飛翔してくる金属の物体――――それは、ユウトが投げ捨てた盾だった。
ミカエルが引き寄せ魔法を使用する前に、ユウトは捨てた盾が背後に位置するように移動していたのだ。
無論、盾は鉄性。 ミカエルの磁気を利用した引き寄せに効果がある。
だから――――不意打ちのように飛んできた盾の一撃を受けて、ミカエルはバランスを崩して、体を大きく仰け反らせる。
その隙にユウトは飛び込んだ。
「今日、2回目の切り札だ――――食らえ!」
いつの間にか、予備の手袋を装備し直していたユウト。 その手袋には魔石がはめ込まれている。
ミカエルの頭部を両手で掴むと――――「直線爆破」
閃光と共に、強烈な爆破呪文がミカエルの頭部に叩き込まれた。
決定的な一撃。 ユウトは勝利を確信した。
「何が強さだ。力に溺れて、狂気に染まって……ミカエル。お前は弱くなった。 本来のお前だったら、こんな小細工に引っかかるお前じゃなかった」
しかし――――
「いや、狂気に染まったって……正常な判断力が低下したわけではない」
「……喋れたのか、ミカエル?」
「当たりまえだ。お前は何を言っている? 戦いの最中に話すのは、無作法だからな」
頭部に爆破の魔法を受けたはずのミカエルは、普通に立ち上がってきた。
今もの剣先はユウトに向けられている。
ユウトは回復薬を飲み、次のぶつかり合いに備える。
「じゃ、メイヴを刺したのは?」
「彼女には悪い事をした。 彼女が無事なら、この戦いを止められていただろう」
チラリと視線をメイヴに向ける。
彼女は、オリビアの手で解放されている。すでに回復薬を飲まされ、ショック状態から動けずにいるのだろうが……安定している。
「次が最後の衝突になるな」とユウトは予感を口にした。
「そうだな」とミカエルも同意した。
「最後に質問だ。どうして俺たちは戦っている? どうして戦わなければならなかったのか?」
「俺からしてみたら、逆だ」
「逆?」とユウトはいぶしがる。
「俺に取って見たら、ユウト……お前は、どうしてそんな事が疑問に浮かぶのか? どうして、戦わなければならないのか? 俺には、そんな疑問は浮かばない。なぜなら――――」
ミカエルは剣を構え直す。 最後に、最高の一撃を放つための準備。
入念な準備を続けながら――――
「――――俺はお前と戦いたい。葬り去りたいとすら思っている!」
叫びながらミカエルは前に出る。 しかし、それよりもユウトの方が速かった。
一瞬の隙を突き、ミカエルに魔法の連続攻撃を浴びせる。
『風斬』
『炎剣』
『落雷撃』
『冬嵐』
ユウトの魔法――――風が切り裂き、炎が舞い、稲妻が煌めき、氷が凍てつく。
魔力による暴力がミカエルの身体を貫き、彼の防御を徐々に崩していく。
最後に、ユウトは最大の魔法力を解放し、魔力の渦を形成する。
「今度は逆だ。 引き寄せられろミカエル――――魔力の渦に落ちろ!」
その言葉通り、ミカエルは抗え切れない力へ。
魔力の渦に巻き込まれていく。
だが彼は、簡単に諦めない。抵抗が激しく暴れるが――――
最後には魔法の力に耐えきれず、絶叫と共に倒れた。
もはや魔法の隠蔽は不要ということか? 変形した腕と大剣は魔力の色――――赤く染まっていた。
ユウトの必死の抵抗の無意味。 その力には抗いがたさを感じている。
体が引き寄せられるにつれ、必死に足を踏ん張る。それも虚しい。
彼は瞬時に自身を守る魔法の盾を展開――――
『炎壁』」
だが、無意味。 ミカエルの刺突はそれを貫き、ユウトの体に剣先を刺し込んでいく。
「――――うっ! がぁ!」と激痛が身体を駆け巡る。
思わずユウトが痛みを声に出すが―――― 彼は闘志を失わずに魔法を繰り出し、反撃を試みる。
しかし、
「くっ!? 痛っ!」と傷口から鮮血が滲み出し、その動きは鈍くなる。
反撃の動きが大きく乱れた。 もはや、ユウトは反撃もままならず。
逆にミカエルは攻撃の手を加えてきた。 大剣による無慈悲な一撃。
ユウトが次撃を躱せたのは幸運か? 実力か?
地を這うような動きで、その攻撃も辛うじて避ける。
傷口の痛みによって動揺し、攻撃を仕掛けるタイミングを逃してしまった彼。
「だが、今度こそは!」
苦悶の表情を浮かべながら、自身の魔法に集中しようとする。
今度はミカエルが間に合わない番だった。
大剣による斬撃。 大盾により打撃。 あるいは、怪物化した腕を武器に使うか――――いや、どれも間に合わない。
だから、ユウトの攻撃は叩き込まれた。
『風斬』 ――――風による乱撃がミハエルに叩き込まれる。
ここで、『炎剣』を選択しなかったのは、斬撃を与える以上に風の衝撃による吹き飛ばし効果を期待しての選択。
事実、ミカエルの肉体は吹き飛ばされた。
遠距離を得意とする魔法使いの間合い――――しかし、すぐさま立ち上がったミカエルは、腕を赤く光らせる。
磁力魔法の使用だ。 無理やり、ユウトを引き寄せて間合いを潰しにかかる。
「くっ!」と抵抗するユウト。 だが、無意味だろう。
ミカエルが使う、対象を引き寄せる魔法の効果。 それを抗うのは、精々は遅延目的くらい。 しかし、最初からユウトの目的は遅延だった。
「残念だが、その魔法は既に見せて貰っている!」
ミカエルは気づかなかった。 ユウトの体に隠れて飛翔してくる金属の物体――――それは、ユウトが投げ捨てた盾だった。
ミカエルが引き寄せ魔法を使用する前に、ユウトは捨てた盾が背後に位置するように移動していたのだ。
無論、盾は鉄性。 ミカエルの磁気を利用した引き寄せに効果がある。
だから――――不意打ちのように飛んできた盾の一撃を受けて、ミカエルはバランスを崩して、体を大きく仰け反らせる。
その隙にユウトは飛び込んだ。
「今日、2回目の切り札だ――――食らえ!」
いつの間にか、予備の手袋を装備し直していたユウト。 その手袋には魔石がはめ込まれている。
ミカエルの頭部を両手で掴むと――――「直線爆破」
閃光と共に、強烈な爆破呪文がミカエルの頭部に叩き込まれた。
決定的な一撃。 ユウトは勝利を確信した。
「何が強さだ。力に溺れて、狂気に染まって……ミカエル。お前は弱くなった。 本来のお前だったら、こんな小細工に引っかかるお前じゃなかった」
しかし――――
「いや、狂気に染まったって……正常な判断力が低下したわけではない」
「……喋れたのか、ミカエル?」
「当たりまえだ。お前は何を言っている? 戦いの最中に話すのは、無作法だからな」
頭部に爆破の魔法を受けたはずのミカエルは、普通に立ち上がってきた。
今もの剣先はユウトに向けられている。
ユウトは回復薬を飲み、次のぶつかり合いに備える。
「じゃ、メイヴを刺したのは?」
「彼女には悪い事をした。 彼女が無事なら、この戦いを止められていただろう」
チラリと視線をメイヴに向ける。
彼女は、オリビアの手で解放されている。すでに回復薬を飲まされ、ショック状態から動けずにいるのだろうが……安定している。
「次が最後の衝突になるな」とユウトは予感を口にした。
「そうだな」とミカエルも同意した。
「最後に質問だ。どうして俺たちは戦っている? どうして戦わなければならなかったのか?」
「俺からしてみたら、逆だ」
「逆?」とユウトはいぶしがる。
「俺に取って見たら、ユウト……お前は、どうしてそんな事が疑問に浮かぶのか? どうして、戦わなければならないのか? 俺には、そんな疑問は浮かばない。なぜなら――――」
ミカエルは剣を構え直す。 最後に、最高の一撃を放つための準備。
入念な準備を続けながら――――
「――――俺はお前と戦いたい。葬り去りたいとすら思っている!」
叫びながらミカエルは前に出る。 しかし、それよりもユウトの方が速かった。
一瞬の隙を突き、ミカエルに魔法の連続攻撃を浴びせる。
『風斬』
『炎剣』
『落雷撃』
『冬嵐』
ユウトの魔法――――風が切り裂き、炎が舞い、稲妻が煌めき、氷が凍てつく。
魔力による暴力がミカエルの身体を貫き、彼の防御を徐々に崩していく。
最後に、ユウトは最大の魔法力を解放し、魔力の渦を形成する。
「今度は逆だ。 引き寄せられろミカエル――――魔力の渦に落ちろ!」
その言葉通り、ミカエルは抗え切れない力へ。
魔力の渦に巻き込まれていく。
だが彼は、簡単に諦めない。抵抗が激しく暴れるが――――
最後には魔法の力に耐えきれず、絶叫と共に倒れた。