ミカエルたちの戦闘教義 は速攻を重視する超攻撃型。
前衛のミカエルと攻撃手のケイデンが飛び出す。
中衛のレインが周囲の敵を蹴散らし、後衛であるエリザですら杖を鈍器の代わりに使い、攻撃に加わる事もある。
全員が走って、攻撃を行う。だから、速攻重視の超攻撃型。
ダンジョンの攻撃速度も速い。
そのために、回復薬や食料、予備の武器を含めた道具。それらの重量を軽めで済む。
そんな彼等が計画の速度を保てず、休憩を入れていた。
「大丈夫かい? オリビア?」とミカエルは彼女の声をかけた。
これまでに数回、ダンジョンに潜って練習をした。 しかし、ここは難易度の高いダンジョン。
命の危険性が増せば、精神が削られる。 精神が削れれば、体力も消耗していく。
現にオリビアは、息を乱して座り込んでいた。
「――――え? あっ、はい」と返事をする彼女。
(声が聞こえないほど疲労している。今回の速度では、ダンジョンの主を諦めて、早めに撤退すべきか)
しかし――――
「本当に大丈夫? これ、飲んで」とレインは瓶を投げた。 回復薬の瓶だ。
言われるままに飲み干そうとするオリビアをミカエルは止めた。
「いや、体力の回復だけなら、時間をかけても休憩していこう。予定よりも進んでいない。回復薬も節約した方がいいだろう」
回復薬は、体力の回復、魔力の回復、怪我の治癒などで高い効果がある。
本来なら治らない怪我――――それどころか致命傷を受けても回復薬だけで完治できる。
しかし、万能の薬には代償もある。
大量に飲み過ぎれば、精神に異常をきたすこともある。大きな疲労や怪我を無理やり回復させれば2~3日寝たままになったり、意識があっても立ち上がれなくなることも……
だから、ミカエルも止めたのだが……
それをレインは否定する。
「あら、私たちの仲間なら高難易度ダンジョンに挑むのは、毎回のことでしょ? 無理やり回復させても走り続ける練習をした方が合理的じゃない?」
「ねぇ? エリザもそう思うでしょ?」と話をエリザに向けた。 彼女はレインの言葉に否定することはないのだが、今回ばかりは……
「いえ、私も緊急時の解毒剤や聖水を作る時間にしたいので……」と手に入れたばかりの素材を並べていた。
彼女もオリビアの休憩は必要と感じていたから、そうやって誤魔化していた。
「ふ~ん」とレインは不快感を露わにした。そして――――
「やっぱり、ユウトを追放しなければよかったわね。6人編成でよかったんじゃない? 今からでも呼び戻しましょうよ?」
「なっ――――」とミカエルは絶句した。
彼だけではない。
「……」と普段は、無口、無表情のケイデンも驚いた顔をしてる。
エリザも目を丸くして口をパクパクと動かしている。
驚いてないのは、ユウトを知らないオリビアだけだった。
「な、何を今さら……そもそも、ユウトを追放したのはレインの意見だっただろ?」
「え? そうだったかしら? でも――――まさか、本当に追放しちゃうなんて思わなかったわ」
ミカエルは感情が激しく揺さぶられる。 もしかしたら――――
(もしかしたら、レイン・アーチャーは近づいてはいけない人間だったのかもしれない)
ならば、どうする? とミカエルは自問自答を始める。
ならば、今度はレインを追放するのか?
だが、ユウトが戻って来る保障はない。 戦力を削ってまで――――
しかし、彼の思考は断たれる。 何か、気配が近づいてきている。
「オリビア……状況が変わった。すぐに回復薬を――――危険な気配が近づいている」
オリビアも経験が少ないとは言え、冒険者としての知識は有している。
「はい」と短く返して、回復薬を飲み干すと立ち上がり、戦闘態勢をとる。
彼女だけではない。 全員が、既に戦闘体勢で接近してくる強敵を向かえる。
そして、姿を現したのは――――
「馬鹿な……キング・ヒュドラ!? ダンジョンの主が、こんなダンジョンの序盤を徘徊している!」
ミカエルは動揺を声に出すも、一瞬のみ。 前衛として駆け出していた。
キング・ヒュドラを簡単に説明するならば、巨大な蛇である。
見上げるほどに巨大な蛇――――サイズは一軒家よりも大きい。
間違いなく巨獣だ。 それだけでも強いのがわかる。
デカければ強い。 当たり前の話だが、それだけではない。
最大の特徴は九つの首。 命が9つあるかのような異常な生命力の強さと回復能力。
厄介なのは、その顎から魔法を放つ事。 間違いなく、高難易度ダンジョンの主と言える強敵。
なぜ、こんな場所に徘徊しているのか? その謎は解決しないが――――
戦闘が開始された。
「行くぞ!」とミカエルは前に――――それに合わせてキング・ヒュドラは噛み付きに出た。 もちろん、1つではない。9つの牙がミカエルの体を嚙み砕こうと襲い掛かって来る。
だが、ミカエルは本物の前衛。盾をもって、その首を殴るように弾く。
それから、連続で迫り来る牙を盾で捌いてみせる。
前衛のミカエルと攻撃手のケイデンが飛び出す。
中衛のレインが周囲の敵を蹴散らし、後衛であるエリザですら杖を鈍器の代わりに使い、攻撃に加わる事もある。
全員が走って、攻撃を行う。だから、速攻重視の超攻撃型。
ダンジョンの攻撃速度も速い。
そのために、回復薬や食料、予備の武器を含めた道具。それらの重量を軽めで済む。
そんな彼等が計画の速度を保てず、休憩を入れていた。
「大丈夫かい? オリビア?」とミカエルは彼女の声をかけた。
これまでに数回、ダンジョンに潜って練習をした。 しかし、ここは難易度の高いダンジョン。
命の危険性が増せば、精神が削られる。 精神が削れれば、体力も消耗していく。
現にオリビアは、息を乱して座り込んでいた。
「――――え? あっ、はい」と返事をする彼女。
(声が聞こえないほど疲労している。今回の速度では、ダンジョンの主を諦めて、早めに撤退すべきか)
しかし――――
「本当に大丈夫? これ、飲んで」とレインは瓶を投げた。 回復薬の瓶だ。
言われるままに飲み干そうとするオリビアをミカエルは止めた。
「いや、体力の回復だけなら、時間をかけても休憩していこう。予定よりも進んでいない。回復薬も節約した方がいいだろう」
回復薬は、体力の回復、魔力の回復、怪我の治癒などで高い効果がある。
本来なら治らない怪我――――それどころか致命傷を受けても回復薬だけで完治できる。
しかし、万能の薬には代償もある。
大量に飲み過ぎれば、精神に異常をきたすこともある。大きな疲労や怪我を無理やり回復させれば2~3日寝たままになったり、意識があっても立ち上がれなくなることも……
だから、ミカエルも止めたのだが……
それをレインは否定する。
「あら、私たちの仲間なら高難易度ダンジョンに挑むのは、毎回のことでしょ? 無理やり回復させても走り続ける練習をした方が合理的じゃない?」
「ねぇ? エリザもそう思うでしょ?」と話をエリザに向けた。 彼女はレインの言葉に否定することはないのだが、今回ばかりは……
「いえ、私も緊急時の解毒剤や聖水を作る時間にしたいので……」と手に入れたばかりの素材を並べていた。
彼女もオリビアの休憩は必要と感じていたから、そうやって誤魔化していた。
「ふ~ん」とレインは不快感を露わにした。そして――――
「やっぱり、ユウトを追放しなければよかったわね。6人編成でよかったんじゃない? 今からでも呼び戻しましょうよ?」
「なっ――――」とミカエルは絶句した。
彼だけではない。
「……」と普段は、無口、無表情のケイデンも驚いた顔をしてる。
エリザも目を丸くして口をパクパクと動かしている。
驚いてないのは、ユウトを知らないオリビアだけだった。
「な、何を今さら……そもそも、ユウトを追放したのはレインの意見だっただろ?」
「え? そうだったかしら? でも――――まさか、本当に追放しちゃうなんて思わなかったわ」
ミカエルは感情が激しく揺さぶられる。 もしかしたら――――
(もしかしたら、レイン・アーチャーは近づいてはいけない人間だったのかもしれない)
ならば、どうする? とミカエルは自問自答を始める。
ならば、今度はレインを追放するのか?
だが、ユウトが戻って来る保障はない。 戦力を削ってまで――――
しかし、彼の思考は断たれる。 何か、気配が近づいてきている。
「オリビア……状況が変わった。すぐに回復薬を――――危険な気配が近づいている」
オリビアも経験が少ないとは言え、冒険者としての知識は有している。
「はい」と短く返して、回復薬を飲み干すと立ち上がり、戦闘態勢をとる。
彼女だけではない。 全員が、既に戦闘体勢で接近してくる強敵を向かえる。
そして、姿を現したのは――――
「馬鹿な……キング・ヒュドラ!? ダンジョンの主が、こんなダンジョンの序盤を徘徊している!」
ミカエルは動揺を声に出すも、一瞬のみ。 前衛として駆け出していた。
キング・ヒュドラを簡単に説明するならば、巨大な蛇である。
見上げるほどに巨大な蛇――――サイズは一軒家よりも大きい。
間違いなく巨獣だ。 それだけでも強いのがわかる。
デカければ強い。 当たり前の話だが、それだけではない。
最大の特徴は九つの首。 命が9つあるかのような異常な生命力の強さと回復能力。
厄介なのは、その顎から魔法を放つ事。 間違いなく、高難易度ダンジョンの主と言える強敵。
なぜ、こんな場所に徘徊しているのか? その謎は解決しないが――――
戦闘が開始された。
「行くぞ!」とミカエルは前に――――それに合わせてキング・ヒュドラは噛み付きに出た。 もちろん、1つではない。9つの牙がミカエルの体を嚙み砕こうと襲い掛かって来る。
だが、ミカエルは本物の前衛。盾をもって、その首を殴るように弾く。
それから、連続で迫り来る牙を盾で捌いてみせる。