「愚かしい。なんて愚かしい茶番だ」
モンド王は激高して、槍先をユウトに向けた。
「神から与えられた試練。 人間の力を進化させるための恵みを破棄するなどと!」
「何が進化なものか! その結果がお前だろう!」
盾で槍を弾いたユウト。 無防備になったモンド王の胴に向かって魔法を放った。
『炎剣』
それは今までのユウトの魔法とは違っていた。
巨大な業火の剣がモンド王を飲み込んだ。 もはや、炎の剣を放つ魔法ではない。
全ての魔導書を手に入れた事で、最大の威力に変化していた。
「くっはぁ!」と飛び出したモンド王。 水に溺れて、ギリギリで水面に顔を上げたように息を吸うような音。
ダメージは少ないようだ。 そのまま再び槍で突いてくる。
「くっ!」と今度はユウトが避ける。
モンド王の槍は短い。長槍ではなく、近距離で戦うための槍。
それで、ユウトの足を狙って来る。
彼の武装は重装備。 しかし、弱点はある。
激しく動けるように足の周辺を金属の防具でガチガチに固めるわけにはいかないのだ。
モンド王の攻撃は下半身に集中している。
「だから―――― 『風斬』」
風の斬撃がモンド王の槍を切断する。 勝利を確信したユウトだったが……
「そうするのはわかっておったわ!」
切断された槍。 短くなった分、簡単に軌道が返れるようになった。
今度の狙いは、ユウトの顔面。 兜に覆われているが――――
モンド王の刺突。裂帛の気合と共に、全霊を賭けた一撃は鉄をも容易に貫くだろう。
回避はできない。 金属の兜は削られていく。
「――――直撃だけは避けさせてもらう」
言葉通りにユウトは首を捻り、直撃を避けた。
しかし、流血。 側頭部におびただしい血液が流れていく。
この時、モンド王は勝利を確信していた。
「まだ……ここまでが俺の作戦通りだ」
ユウトは、両手でモンド王の頭部を掴んだ。
「食らえ――――『直線爆破』」
ユウトの両手が爆発魔法を引き起こす。 衝撃の反動は凄まじい……だが、それ以上にモンド王のダメージは大きい。
もはや、勝敗は決したと言える。 兵も失い、武器も失っているモンド王。
「だが、まだ……貴様が切り札を切る瞬間を狙っていた」
モンド王は、足に力を込めた。倒れていく体が止まる。
自身の背後に手を回した。 いつの間にか、背中には剣が隠されていた。
これまでの戦い。 ユウトの目を誤魔化し、倒れた兵から剣を手に入れていたのだろう。
それを今———— ユウトに向かって振り下ろそうとする。
「その魔法は自爆技。 自身もすぐには、動けまい。我の勝ちだ!」
「――――いや、俺はこの戦いに全てを用意してきた。まだ、俺には力が残っている」
「ここに来て戯言を! 貴様には、何も残ってない!」
モンド王は剣を振る。それがユウトの体に触れるか直前————
「今だ! 放て――――『落雷撃』」
激しい両手の負傷。 ユウトは魔法が放てない。
しかし、激しい落雷がモンド王の体を貫いた。
「な、なぜ……」と消えていく意識。
倒れていく体。だから、自然と視線は空に向けられた。
そこに宙に浮いている少女がいた。 彼が、モンド王が知らない少女だった。
ただ、彼女が、 メイド服の少女が落雷の魔法『落雷撃』を放った事だけはわかった。
モンド王は、自身の命を奪った存在が、なんであるか知る方法もなく――――1000年を超える命の灯を消した。
「やりましたよ! ご主人さま」
「あぁ、よくやった、エルム」とユウトは少女を――――彼が愛用している杖の化身。エルムを誉めた。
モンド王も、その存在を知らなかっただろう。だからこそ、彼女は切り札になり得た。
「これで終わった……そう言えればいいのだけどな」とユウトは回復薬を飲み干した。
急激に回復していく体。 すぐに行われる次の戦いに備える。
そして、それは来た。
「見事な勝利であった」
空からゆっくりと――――
ユウトは一度だけ出会っている存在。 だから、知っていた。
彼がこのタイミングで現れる事を――――
「このたびの戦い。勝利を祝福しよう『暴食』」
「あぁ、最後に決めてた。この戦いの元凶だけは倒そうと――――」
「何を言っている?」
「お前だけは、倒すと言っているんだ――――『神』よ!」
この戦い、魔導書大戦と始めた存在。 ユウトは『神』への戦いを始めた。
モンド王は激高して、槍先をユウトに向けた。
「神から与えられた試練。 人間の力を進化させるための恵みを破棄するなどと!」
「何が進化なものか! その結果がお前だろう!」
盾で槍を弾いたユウト。 無防備になったモンド王の胴に向かって魔法を放った。
『炎剣』
それは今までのユウトの魔法とは違っていた。
巨大な業火の剣がモンド王を飲み込んだ。 もはや、炎の剣を放つ魔法ではない。
全ての魔導書を手に入れた事で、最大の威力に変化していた。
「くっはぁ!」と飛び出したモンド王。 水に溺れて、ギリギリで水面に顔を上げたように息を吸うような音。
ダメージは少ないようだ。 そのまま再び槍で突いてくる。
「くっ!」と今度はユウトが避ける。
モンド王の槍は短い。長槍ではなく、近距離で戦うための槍。
それで、ユウトの足を狙って来る。
彼の武装は重装備。 しかし、弱点はある。
激しく動けるように足の周辺を金属の防具でガチガチに固めるわけにはいかないのだ。
モンド王の攻撃は下半身に集中している。
「だから―――― 『風斬』」
風の斬撃がモンド王の槍を切断する。 勝利を確信したユウトだったが……
「そうするのはわかっておったわ!」
切断された槍。 短くなった分、簡単に軌道が返れるようになった。
今度の狙いは、ユウトの顔面。 兜に覆われているが――――
モンド王の刺突。裂帛の気合と共に、全霊を賭けた一撃は鉄をも容易に貫くだろう。
回避はできない。 金属の兜は削られていく。
「――――直撃だけは避けさせてもらう」
言葉通りにユウトは首を捻り、直撃を避けた。
しかし、流血。 側頭部におびただしい血液が流れていく。
この時、モンド王は勝利を確信していた。
「まだ……ここまでが俺の作戦通りだ」
ユウトは、両手でモンド王の頭部を掴んだ。
「食らえ――――『直線爆破』」
ユウトの両手が爆発魔法を引き起こす。 衝撃の反動は凄まじい……だが、それ以上にモンド王のダメージは大きい。
もはや、勝敗は決したと言える。 兵も失い、武器も失っているモンド王。
「だが、まだ……貴様が切り札を切る瞬間を狙っていた」
モンド王は、足に力を込めた。倒れていく体が止まる。
自身の背後に手を回した。 いつの間にか、背中には剣が隠されていた。
これまでの戦い。 ユウトの目を誤魔化し、倒れた兵から剣を手に入れていたのだろう。
それを今———— ユウトに向かって振り下ろそうとする。
「その魔法は自爆技。 自身もすぐには、動けまい。我の勝ちだ!」
「――――いや、俺はこの戦いに全てを用意してきた。まだ、俺には力が残っている」
「ここに来て戯言を! 貴様には、何も残ってない!」
モンド王は剣を振る。それがユウトの体に触れるか直前————
「今だ! 放て――――『落雷撃』」
激しい両手の負傷。 ユウトは魔法が放てない。
しかし、激しい落雷がモンド王の体を貫いた。
「な、なぜ……」と消えていく意識。
倒れていく体。だから、自然と視線は空に向けられた。
そこに宙に浮いている少女がいた。 彼が、モンド王が知らない少女だった。
ただ、彼女が、 メイド服の少女が落雷の魔法『落雷撃』を放った事だけはわかった。
モンド王は、自身の命を奪った存在が、なんであるか知る方法もなく――――1000年を超える命の灯を消した。
「やりましたよ! ご主人さま」
「あぁ、よくやった、エルム」とユウトは少女を――――彼が愛用している杖の化身。エルムを誉めた。
モンド王も、その存在を知らなかっただろう。だからこそ、彼女は切り札になり得た。
「これで終わった……そう言えればいいのだけどな」とユウトは回復薬を飲み干した。
急激に回復していく体。 すぐに行われる次の戦いに備える。
そして、それは来た。
「見事な勝利であった」
空からゆっくりと――――
ユウトは一度だけ出会っている存在。 だから、知っていた。
彼がこのタイミングで現れる事を――――
「このたびの戦い。勝利を祝福しよう『暴食』」
「あぁ、最後に決めてた。この戦いの元凶だけは倒そうと――――」
「何を言っている?」
「お前だけは、倒すと言っているんだ――――『神』よ!」
この戦い、魔導書大戦と始めた存在。 ユウトは『神』への戦いを始めた。