インファ。 魔導書は『憤怒』
個人的な戦闘能力は最強。 それこそ、過去にも行われていた事が明らかになった魔導書戦争にもいて、歴代最強の魔導書使いと言える戦力が有している。
そんな彼が、この場に現れるのは意外だった。
徒党を組んで1人の魔導書使いを倒す。彼の美学に反することではないだろうか?
「お待ちしておりました。私は、ゼロスと申します」
ユウトたちへの対応と同じく、天使の彼女はインファにも同じように説明を始める。
しかし――――
「説明はいらない。ここには魔導書使いが集まるって聞いた……じゃ、ここで決着をつけてしまえばいいだろ?」
「――――」と全員に緊張が走る。 彼は『強欲』の討伐に参加したつもりはない。
むしろ、『強欲』討伐参加者として全員が集まった時、全員を相手に戦うつもりできたのだ。
「脱落者は――――『嫉妬』のグリムロック。 今いるのは、『暴食』『色欲』『怠惰』の三人。 それに意図的に距離を取っているのは……『傲慢』か。俺と『強欲』を合わせて6人。例外を除いたら、全員集合……良いのか? 俺を殺すには最大のチャンスだぞ」
(どうする? 本当に戦うのか? それとも、この戦闘を回避するために――――)
「なんだい? 本気で戦うつもりなのは『暴食』くらいか?」
興が醒めたようにインファは、腰を床に降ろした。
「それで? どうして『強欲』を相手に全員を集めた? 興味があったら、奴と戦ってやってもいいぞ」
急に態度が変わり、ゼロスの言葉に耳を傾け始めた。
「――――そ、それでは僭越ながら、説明をさせていただきます。現在、討伐対象『強欲』は――――」
彼女の説明。その後に続く言葉に、ユウトたちは理解が遅れた。
「『強欲』は、この場に隠れています」
少ない人数でありながら、ざわつく。
「戦争を遅延行為による妨害が――――――」
「いや、待ってくれ」とユウトは彼女を止めた。
「はい、いかがされましたか?」
「今、ここにいると――――その、『強欲』が?」
「はい、その通りですよ」
その直後、彼女は足で床を踏み抜いた。 なぜ、そのような行為を?
答えはすぐにわかった。 床に、正確には床下。空間が広がっていた。
「ここは『強欲』の隠れ場であると我々は突き止めました。この地下に隠れている『強欲』を仕留めてください」
驚きよりも――――
(天使だから、教会を選んだわけじゃないのか)
そんな感想が過るユウトだった。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「それじゃ、俺から行く」と立候補したのはユウトだった。
この中で冒険者という立場。 加えて探知魔法の使い手。
魔法使いでありながら斥候もできるユウトだ。
自称、孤高特化型魔法使いの面目躍如――――もっとも、この場にいる全員が協力して『強欲』討伐するはずもない。
(きっと、それぞれがバラバラに行動することになるだろう)
そんな事を考えながら、床に隠された通路に向かって飛び降りた。
しかし、地面に着地と同時に彼は異変を感じ取った。
(なんだ、この感覚は? 探知魔法には反応……なし。だが……)
だが、彼は自身の感覚を信じた。
弾かれたように飛び上がり、入ってきた穴から脱出した。
「――――え?」とユウトの行動に意味が分からず、呆けるそれぞれ。
しかし、彼は確認するように言った。
「俺が、下に飛び降りて、どのくらい時間が経過した?」
個人的な戦闘能力は最強。 それこそ、過去にも行われていた事が明らかになった魔導書戦争にもいて、歴代最強の魔導書使いと言える戦力が有している。
そんな彼が、この場に現れるのは意外だった。
徒党を組んで1人の魔導書使いを倒す。彼の美学に反することではないだろうか?
「お待ちしておりました。私は、ゼロスと申します」
ユウトたちへの対応と同じく、天使の彼女はインファにも同じように説明を始める。
しかし――――
「説明はいらない。ここには魔導書使いが集まるって聞いた……じゃ、ここで決着をつけてしまえばいいだろ?」
「――――」と全員に緊張が走る。 彼は『強欲』の討伐に参加したつもりはない。
むしろ、『強欲』討伐参加者として全員が集まった時、全員を相手に戦うつもりできたのだ。
「脱落者は――――『嫉妬』のグリムロック。 今いるのは、『暴食』『色欲』『怠惰』の三人。 それに意図的に距離を取っているのは……『傲慢』か。俺と『強欲』を合わせて6人。例外を除いたら、全員集合……良いのか? 俺を殺すには最大のチャンスだぞ」
(どうする? 本当に戦うのか? それとも、この戦闘を回避するために――――)
「なんだい? 本気で戦うつもりなのは『暴食』くらいか?」
興が醒めたようにインファは、腰を床に降ろした。
「それで? どうして『強欲』を相手に全員を集めた? 興味があったら、奴と戦ってやってもいいぞ」
急に態度が変わり、ゼロスの言葉に耳を傾け始めた。
「――――そ、それでは僭越ながら、説明をさせていただきます。現在、討伐対象『強欲』は――――」
彼女の説明。その後に続く言葉に、ユウトたちは理解が遅れた。
「『強欲』は、この場に隠れています」
少ない人数でありながら、ざわつく。
「戦争を遅延行為による妨害が――――――」
「いや、待ってくれ」とユウトは彼女を止めた。
「はい、いかがされましたか?」
「今、ここにいると――――その、『強欲』が?」
「はい、その通りですよ」
その直後、彼女は足で床を踏み抜いた。 なぜ、そのような行為を?
答えはすぐにわかった。 床に、正確には床下。空間が広がっていた。
「ここは『強欲』の隠れ場であると我々は突き止めました。この地下に隠れている『強欲』を仕留めてください」
驚きよりも――――
(天使だから、教会を選んだわけじゃないのか)
そんな感想が過るユウトだった。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「それじゃ、俺から行く」と立候補したのはユウトだった。
この中で冒険者という立場。 加えて探知魔法の使い手。
魔法使いでありながら斥候もできるユウトだ。
自称、孤高特化型魔法使いの面目躍如――――もっとも、この場にいる全員が協力して『強欲』討伐するはずもない。
(きっと、それぞれがバラバラに行動することになるだろう)
そんな事を考えながら、床に隠された通路に向かって飛び降りた。
しかし、地面に着地と同時に彼は異変を感じ取った。
(なんだ、この感覚は? 探知魔法には反応……なし。だが……)
だが、彼は自身の感覚を信じた。
弾かれたように飛び上がり、入ってきた穴から脱出した。
「――――え?」とユウトの行動に意味が分からず、呆けるそれぞれ。
しかし、彼は確認するように言った。
「俺が、下に飛び降りて、どのくらい時間が経過した?」