最初に倒した二十匹ほどいたゴブリンも食べたくはなかったが、魔石が討伐の証拠って言うから残さず吸収させていただいた……。
その後、薬草の採取を再開しようとした俺達にお兄さん達は声をかけてきた。
「ユウリだったか、この状況で薬草採取を続けるか? 普通なら冒険者ギルドに報告しなきゃ駄目だろ」
「え? だけどイルが請けた依頼が失敗になるだろ? 請けたのは薬草採取で、ゴブリンの討伐じゃないし」
「失敗になるのです? 困りましたの、頑張って早く集めますの! 少し待って欲しいですの!」
イルは茜ちゃんから渡してもらったスコップを空に向かって掲げて、今にも薬草がありそうな方向に走り出しそうだ。
……鑑定! あそこだな。そうか、茜ちゃんからある場所を聞いてあったんだね。
『友里くん、今回みたいなゴブリンの群は珍しいって言ってたし、もしかしたら報告の義務があったりするのかも。イルちゃんの言う通りすぐに集めてあげたいけど依頼は今回諦めた方が良いかも』
なるほどそうか、めったにない数のゴブリンがいた証拠の魔石は、茜ちゃんが持つちょっと潰れた籠に入ってるし。
「それになんだそのスライムは、小さいのにアレだけのゴブリンを食べてしまうなんて」
「いや、スライムはそんなもんだって、止めないとどれだけでも吸収するそうだぞ。しかし、よく見ると普通のスライムより小さいな」
別のお兄さんがそう言ってつついてきた……。
「ん~、さわり心地も普通のスライムだけど、よく懐いてるな、っと、分かった薬草だろ、俺達も手伝ってやるから心配するな」
「ふおお! 手伝ってくれますの! こっちですの! 沢山ありましたからすぐなのです!」
「あっ、イル!」
『イルちゃん急に引っ張っちゃ!』
あっぶねー、もうちょっとで茜ちゃんから落とされるところだった。
今離れると幻影が解けて茜ちゃんの姿が出てしまうんだけど、繋いでいた手を引き、イルがいきなり走り出したため、茜ちゃんがつんのめったが、なんとか空いてる手で押さえてくれたので助かった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
その後は、俺が鑑定するまでもなく、茜ちゃんの看破で薬草が生えている場所を見つけ、お兄さん達にも教えると。
「おいおいユウリだったか、お前すげえな。これだけあれば、俺達の依頼分も集まりそうだぞ」
「ああ、それなら良いですね、やっぱり依頼失敗はそれだけ収入も減りますし、いっぱい集めて行きましょう」
ま、まあ俺は薬草を採取している茜ちゃんの肩の上であたりを警戒しているだけなんだが……頑張れ。
結局、俺達と、お兄さん達の依頼分も採取が終わり、報告しないといけない冒険者ギルドには、いつもより少し早いくらいの時間に帰ってこれた。
受け付けも、並び始めていたけど俺達は列を飛ばして受け付けではなく奥にいるギルドマスターに声をかける。
「ギルドマスター、ちょっと緊急かもしれない情報を持ってきた」
お兄さんが声をかけると、チラリとこちらを見たギルドマスター。
イルはいつも通りカウンターに背伸びをしながら顎を乗せるスタイルだ。
忙しく、戦場のような緊張感漂う場が、ほんわかと緊張感が薄れた。
ニコニコ顔でやってくるギルドマスターに向かって笑顔を振りまきながら、お兄さんが言う前にイルが先に報告し始めた。
「ゴブリンが出ましたの! えっと、三十匹くらいいましたの! ユウリがやっつけたのです!」
「先に言われてしまったか、本当だぞギルドマスター。この子の兄貴が魔法で倒してくれなきゃ俺達は今頃ここにはいなかっただろうな」
そう言ってイルは頭を撫でられている。
だがギルドマスターや、それを聞いた冒険者達は、緊張感が戻る人と、冗談だと思い笑う人達がいる。
「嘘ではないのだろうが、魔石はあるのか? それとも、数が数だ、現地に置いてきたなら今からでも処理をするために人を出すが――」
魔石と言い始めたので、茜ちゃんに籠を見せるように念話を送る。
「ん? その薬草ではないんだが」
「いや、その薬草の下に魔石が入っているので見てもらえれば」
イルの目の前に置かれた少し壊れかけの籠から薬草取り出し、底に入っている魔石を見て、ギルドマスターの顔がイルを見ながらにこやかだったのに、真剣な顔に変わり緊張感が出てきた。
籠から魔石を取り出し始めたギルドマスターに冒険者ギルド内の視線が集まる。
「ちょうど三十だな、これほどの群れが薬草採取の草原に出てきたのか……、これは森の中の勢力図が変わったと見て、調べる必要があるな」
ギルドマスターは一度自分の席に戻り、何か紙を引き出しから取り出すと、サラサラと何かを書いて印をダンと、こちらに戻ってきた。
「緊急依頼を出す! Cランク以上のパーティーは強制参加だ! 明日の朝より森の調査を頼む! 一日銀貨二枚! 成果によって追加報酬もつける! Dランク以下は結果が出るまで森には近づくことを禁止だ!」
「ユウリ、私達はEランクですの、ダメダメなのですよ」
「そうか、仕方がないか、解決するまで別の依頼を請けないと駄目だな」
『えー、冒険者の私達が大活躍して一気にランクアップできそうなイベントなのにー』
うん。俺もそう思うが、ランクの縛りがあるなら仕方がないか。
「俺の予想たが出てきたのはゴブリンだ。今までならオークがあの森のヌシだったから性質のよく似たゴブリンはそこまで外には出てこなかったが、そのオークからヌシが別物に変わった可能性が高い。分かっているとは思うが気を抜くな!」
ギルドマスターの言葉に反応した冒険者達は歓声と言うか歓喜して叫ぶものと、寡黙に仲間達と相談を始める者達に、低ランクの依頼に対して不安な声が飛び交っている。
「よし、この者達の精算を済ませておいてくれるか」
そう言うと、お兄さん達の持っていた薬草も出させて俺達は別室で詳しい話を聞きたいと、奥にある応接室に連れていかれる事に。
話すのは構わないし、イルは初めて入るところなのでキョロキョロと楽しそうで良かった。
……のかな?
その後、薬草の採取を再開しようとした俺達にお兄さん達は声をかけてきた。
「ユウリだったか、この状況で薬草採取を続けるか? 普通なら冒険者ギルドに報告しなきゃ駄目だろ」
「え? だけどイルが請けた依頼が失敗になるだろ? 請けたのは薬草採取で、ゴブリンの討伐じゃないし」
「失敗になるのです? 困りましたの、頑張って早く集めますの! 少し待って欲しいですの!」
イルは茜ちゃんから渡してもらったスコップを空に向かって掲げて、今にも薬草がありそうな方向に走り出しそうだ。
……鑑定! あそこだな。そうか、茜ちゃんからある場所を聞いてあったんだね。
『友里くん、今回みたいなゴブリンの群は珍しいって言ってたし、もしかしたら報告の義務があったりするのかも。イルちゃんの言う通りすぐに集めてあげたいけど依頼は今回諦めた方が良いかも』
なるほどそうか、めったにない数のゴブリンがいた証拠の魔石は、茜ちゃんが持つちょっと潰れた籠に入ってるし。
「それになんだそのスライムは、小さいのにアレだけのゴブリンを食べてしまうなんて」
「いや、スライムはそんなもんだって、止めないとどれだけでも吸収するそうだぞ。しかし、よく見ると普通のスライムより小さいな」
別のお兄さんがそう言ってつついてきた……。
「ん~、さわり心地も普通のスライムだけど、よく懐いてるな、っと、分かった薬草だろ、俺達も手伝ってやるから心配するな」
「ふおお! 手伝ってくれますの! こっちですの! 沢山ありましたからすぐなのです!」
「あっ、イル!」
『イルちゃん急に引っ張っちゃ!』
あっぶねー、もうちょっとで茜ちゃんから落とされるところだった。
今離れると幻影が解けて茜ちゃんの姿が出てしまうんだけど、繋いでいた手を引き、イルがいきなり走り出したため、茜ちゃんがつんのめったが、なんとか空いてる手で押さえてくれたので助かった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
その後は、俺が鑑定するまでもなく、茜ちゃんの看破で薬草が生えている場所を見つけ、お兄さん達にも教えると。
「おいおいユウリだったか、お前すげえな。これだけあれば、俺達の依頼分も集まりそうだぞ」
「ああ、それなら良いですね、やっぱり依頼失敗はそれだけ収入も減りますし、いっぱい集めて行きましょう」
ま、まあ俺は薬草を採取している茜ちゃんの肩の上であたりを警戒しているだけなんだが……頑張れ。
結局、俺達と、お兄さん達の依頼分も採取が終わり、報告しないといけない冒険者ギルドには、いつもより少し早いくらいの時間に帰ってこれた。
受け付けも、並び始めていたけど俺達は列を飛ばして受け付けではなく奥にいるギルドマスターに声をかける。
「ギルドマスター、ちょっと緊急かもしれない情報を持ってきた」
お兄さんが声をかけると、チラリとこちらを見たギルドマスター。
イルはいつも通りカウンターに背伸びをしながら顎を乗せるスタイルだ。
忙しく、戦場のような緊張感漂う場が、ほんわかと緊張感が薄れた。
ニコニコ顔でやってくるギルドマスターに向かって笑顔を振りまきながら、お兄さんが言う前にイルが先に報告し始めた。
「ゴブリンが出ましたの! えっと、三十匹くらいいましたの! ユウリがやっつけたのです!」
「先に言われてしまったか、本当だぞギルドマスター。この子の兄貴が魔法で倒してくれなきゃ俺達は今頃ここにはいなかっただろうな」
そう言ってイルは頭を撫でられている。
だがギルドマスターや、それを聞いた冒険者達は、緊張感が戻る人と、冗談だと思い笑う人達がいる。
「嘘ではないのだろうが、魔石はあるのか? それとも、数が数だ、現地に置いてきたなら今からでも処理をするために人を出すが――」
魔石と言い始めたので、茜ちゃんに籠を見せるように念話を送る。
「ん? その薬草ではないんだが」
「いや、その薬草の下に魔石が入っているので見てもらえれば」
イルの目の前に置かれた少し壊れかけの籠から薬草取り出し、底に入っている魔石を見て、ギルドマスターの顔がイルを見ながらにこやかだったのに、真剣な顔に変わり緊張感が出てきた。
籠から魔石を取り出し始めたギルドマスターに冒険者ギルド内の視線が集まる。
「ちょうど三十だな、これほどの群れが薬草採取の草原に出てきたのか……、これは森の中の勢力図が変わったと見て、調べる必要があるな」
ギルドマスターは一度自分の席に戻り、何か紙を引き出しから取り出すと、サラサラと何かを書いて印をダンと、こちらに戻ってきた。
「緊急依頼を出す! Cランク以上のパーティーは強制参加だ! 明日の朝より森の調査を頼む! 一日銀貨二枚! 成果によって追加報酬もつける! Dランク以下は結果が出るまで森には近づくことを禁止だ!」
「ユウリ、私達はEランクですの、ダメダメなのですよ」
「そうか、仕方がないか、解決するまで別の依頼を請けないと駄目だな」
『えー、冒険者の私達が大活躍して一気にランクアップできそうなイベントなのにー』
うん。俺もそう思うが、ランクの縛りがあるなら仕方がないか。
「俺の予想たが出てきたのはゴブリンだ。今までならオークがあの森のヌシだったから性質のよく似たゴブリンはそこまで外には出てこなかったが、そのオークからヌシが別物に変わった可能性が高い。分かっているとは思うが気を抜くな!」
ギルドマスターの言葉に反応した冒険者達は歓声と言うか歓喜して叫ぶものと、寡黙に仲間達と相談を始める者達に、低ランクの依頼に対して不安な声が飛び交っている。
「よし、この者達の精算を済ませておいてくれるか」
そう言うと、お兄さん達の持っていた薬草も出させて俺達は別室で詳しい話を聞きたいと、奥にある応接室に連れていかれる事に。
話すのは構わないし、イルは初めて入るところなのでキョロキョロと楽しそうで良かった。
……のかな?