友里くんの冒険者登録も滞りなく……ち、ちょっと普段の私が喋る言葉になっちゃって焦ったけど終わった。
うう……友里くんが少し変な喋り方する子だと思われたかも……ごめんね友里くん。『はわわ』とか言っちゃったし。
後で謝ろう。
ギルドカードを受け取り、冒険者ギルドを後にして、いつも通り門をくぐり街の外へ出た後、遠くに見えている森に向けて歩いていきます。
ちょこちょこ歩くイルと一緒に歩調を合わせ進むんだけど、同じように薬草採取を請けたのか、私と同じくらいの子達やおじさん達が後ろから来て、スイスイ追い抜いていく。
あはは、仕方ないよね。
イルちゃんも一生懸命歩いてるんだし、大きな子達と同じ速さで歩ける訳ないもの。
「アカネ、ユウリ大丈夫? 心配ですの」
街を出たらユウリ呼びは無くなりアカネに戻っているけど大丈夫よね。
今は……うん。近くに誰もいないから大丈夫。
イルちゃんは、くいくいっと掴んだ私の指を引っ張りながら聞いてきた。
「うん。友里くんは強いんだもの、きっと目的を達成して戻ってくるわよ」
イルにはそう言ったけど、やっぱり心配は心配ですよ。
肩に乗っているぷるぷるの友里くんを、そっと触って、ふにふにしていてひんやりした感触で心を落ち着かせ……あっ、良く考えたら、これって友里くんの裸を触っているってことじゃ――っ!
バッと手を離し、赤くなってらだろう頬を揉みほぐし、集まった血液を分散させる。
友里くんの裸を触ったのなんて保育園の水遊び以来だけど、帰ってきたら謝って……ん? 今はスライムだし、良い……のかな?
……はっ! ダメダメ、そんなR18的なこと考えちゃ、これから一緒にいるのに友里くんの顔見れなくなっちゃうよ!
「くふふっ、アカネ変な顔ですの、私もやりますの! ふにふに~ふにふに~なのですよ~♪」
ちょっと小さい頃の事を考えて、赤面していると、イルは私の真似をしていた。
両手を頬にあて、ぐにんぐにんと顔を歪め押し潰しながら可愛い顔を揉みほぐしている。
「……もぉぉぉー! イルちゃん可愛すぎますよ!」
「はわわわーですのー♪ ぐるぐるぅ~♪」
思わず抱き上げてぐるぐる回っちゃいました。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
しばらくして森の手前まで来ると、今日も数組のパーティーが薬草採取をしに来ている。
私はかついで来ていた籠を下ろして、二日目に買ったスコップの二本取り出し一本をイルに渡す。
「はい、イルちゃんのスコップよ」
「ありがとですの、今日も頑張るのです!」
籠を、手に持ち、あたりの薬草を探す。
この薬草を探す事に私のスキル看破が中々役に立つ。
とりあえず広い範囲で看破かけると、ほら、薬草や、毒消し、それに毒草まで大体の場所が分かるの。
「イルちゃん、薬草と毒消しがあっちにあるわよ」
「あっちなのです? 分かりましたの、よーいどんですの!」
「あっ、イルちゃん待って!」
私が指差した方向に、スコップを持った手を振り回しながら、二日目に教えた競争する時の合図を言って走っていく。イルちゃんを追いかけ私も走り出す。
でも足の遅い私でも、トテトテ走るイルちゃんにはすぐに追い付いちゃうんだけどね。
追い付いた後は走る速さを合わせて横並びで十メートルほど走り、看破で見えた場所にたどり着いた。
「あっ、ありましたの! アカネ、そこにもありますの! 今日もいっぱいなのですよ!」
早速イルちゃんはしゃがみこむとスコップで薬草を掘り始める。
私もすぐ側にあった薬草を掘り始めたんだけど、少し離れた森の際で採取をしていた冒険者達が何か騒ぎ始めた。
「なんだろう? あっ、またゴブリンが出たとか!」
「ゴブリンですの? ん~、見えませんの」
一本目の薬草を引き抜き立ち上がったイルちゃんは、スコップで目の上にひさしを作り、背伸びをして騒いでる冒険者達がいるところを見ている。
けれど、同じように一本目を引き抜きつつ立ち上がった私にも見えないから――。
「森の中ですの! ゴブリンがこっちに走ってきてますの! アカネ、逃げますの! よーいどんなのです!」
「う、うん! イルちゃん手をつないで! 行くよ!」
私には見えなかったけれど、イルちゃんがそんな嘘をつくはず無いので、手を取り合い街に向けて走り始めた。
するとすぐに背後から『来たぞ! ゴブリンだ!』『クソっ! 思ったより数が多い、逃げるぞ!』そう叫んでいるのが聞こえた。
やっぱり! 流石イルちゃん、小さい子だけど魔王だからかなと考えてしまう。
けど、今は途中後ろを振り向かず走らなきゃ!
でもやっぱりイルちゃんの足の歩幅が狭く、このままじゃ追い付かれてしまう。
私は立ち止まり手を離すと『え?』って言うイルの前で、籠を背中から前に持ってきて、背中を向けてしゃがみこんだ。
「イルちゃん、おぶさって! イルちゃんをおんぶして走るから!」
「はいですの! よいしょ、アカネ、おぶさりましたの!」
首に回った細い腕を感じながら、両手でイルちゃんの足を持ち立ち上がった。
「うそっ! 初日より多いよ! 行くよイルちゃん! しっかり掴まっててね!」
立ち上がった時に、チラリと後ろを見ちゃったんだけど、初日に遭遇した十匹のゴブリンの倍はいるように見えた。
急いで走り出しながら、イルちゃんには友里くんの事をトントンと叩いていてとお願いして、街にいる友里くんに念話を送る。
「お前らもっと速く走れ! 追い付かれるぞ!」
「そんなこと言ってる場合か! 俺達もヤバいんだ! 悪いけど先に行かせてもらうぞ!」
次々と薬草採取に来ていた他の冒険者達に声をかけられるけど、その人達も必死に逃げているから簡単に抜かれちゃった。
友里くん早く気づいてと、全開で走りながら念話を送っていたのに、すぐ後ろまでゴブリンの声が近づいてきていた。
「アカネ!」
イルの叫びを聞いた時、草に足をとられ絶対転けちゃ駄目な場面で私は地面に投げ出された。
うう……友里くんが少し変な喋り方する子だと思われたかも……ごめんね友里くん。『はわわ』とか言っちゃったし。
後で謝ろう。
ギルドカードを受け取り、冒険者ギルドを後にして、いつも通り門をくぐり街の外へ出た後、遠くに見えている森に向けて歩いていきます。
ちょこちょこ歩くイルと一緒に歩調を合わせ進むんだけど、同じように薬草採取を請けたのか、私と同じくらいの子達やおじさん達が後ろから来て、スイスイ追い抜いていく。
あはは、仕方ないよね。
イルちゃんも一生懸命歩いてるんだし、大きな子達と同じ速さで歩ける訳ないもの。
「アカネ、ユウリ大丈夫? 心配ですの」
街を出たらユウリ呼びは無くなりアカネに戻っているけど大丈夫よね。
今は……うん。近くに誰もいないから大丈夫。
イルちゃんは、くいくいっと掴んだ私の指を引っ張りながら聞いてきた。
「うん。友里くんは強いんだもの、きっと目的を達成して戻ってくるわよ」
イルにはそう言ったけど、やっぱり心配は心配ですよ。
肩に乗っているぷるぷるの友里くんを、そっと触って、ふにふにしていてひんやりした感触で心を落ち着かせ……あっ、良く考えたら、これって友里くんの裸を触っているってことじゃ――っ!
バッと手を離し、赤くなってらだろう頬を揉みほぐし、集まった血液を分散させる。
友里くんの裸を触ったのなんて保育園の水遊び以来だけど、帰ってきたら謝って……ん? 今はスライムだし、良い……のかな?
……はっ! ダメダメ、そんなR18的なこと考えちゃ、これから一緒にいるのに友里くんの顔見れなくなっちゃうよ!
「くふふっ、アカネ変な顔ですの、私もやりますの! ふにふに~ふにふに~なのですよ~♪」
ちょっと小さい頃の事を考えて、赤面していると、イルは私の真似をしていた。
両手を頬にあて、ぐにんぐにんと顔を歪め押し潰しながら可愛い顔を揉みほぐしている。
「……もぉぉぉー! イルちゃん可愛すぎますよ!」
「はわわわーですのー♪ ぐるぐるぅ~♪」
思わず抱き上げてぐるぐる回っちゃいました。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
しばらくして森の手前まで来ると、今日も数組のパーティーが薬草採取をしに来ている。
私はかついで来ていた籠を下ろして、二日目に買ったスコップの二本取り出し一本をイルに渡す。
「はい、イルちゃんのスコップよ」
「ありがとですの、今日も頑張るのです!」
籠を、手に持ち、あたりの薬草を探す。
この薬草を探す事に私のスキル看破が中々役に立つ。
とりあえず広い範囲で看破かけると、ほら、薬草や、毒消し、それに毒草まで大体の場所が分かるの。
「イルちゃん、薬草と毒消しがあっちにあるわよ」
「あっちなのです? 分かりましたの、よーいどんですの!」
「あっ、イルちゃん待って!」
私が指差した方向に、スコップを持った手を振り回しながら、二日目に教えた競争する時の合図を言って走っていく。イルちゃんを追いかけ私も走り出す。
でも足の遅い私でも、トテトテ走るイルちゃんにはすぐに追い付いちゃうんだけどね。
追い付いた後は走る速さを合わせて横並びで十メートルほど走り、看破で見えた場所にたどり着いた。
「あっ、ありましたの! アカネ、そこにもありますの! 今日もいっぱいなのですよ!」
早速イルちゃんはしゃがみこむとスコップで薬草を掘り始める。
私もすぐ側にあった薬草を掘り始めたんだけど、少し離れた森の際で採取をしていた冒険者達が何か騒ぎ始めた。
「なんだろう? あっ、またゴブリンが出たとか!」
「ゴブリンですの? ん~、見えませんの」
一本目の薬草を引き抜き立ち上がったイルちゃんは、スコップで目の上にひさしを作り、背伸びをして騒いでる冒険者達がいるところを見ている。
けれど、同じように一本目を引き抜きつつ立ち上がった私にも見えないから――。
「森の中ですの! ゴブリンがこっちに走ってきてますの! アカネ、逃げますの! よーいどんなのです!」
「う、うん! イルちゃん手をつないで! 行くよ!」
私には見えなかったけれど、イルちゃんがそんな嘘をつくはず無いので、手を取り合い街に向けて走り始めた。
するとすぐに背後から『来たぞ! ゴブリンだ!』『クソっ! 思ったより数が多い、逃げるぞ!』そう叫んでいるのが聞こえた。
やっぱり! 流石イルちゃん、小さい子だけど魔王だからかなと考えてしまう。
けど、今は途中後ろを振り向かず走らなきゃ!
でもやっぱりイルちゃんの足の歩幅が狭く、このままじゃ追い付かれてしまう。
私は立ち止まり手を離すと『え?』って言うイルの前で、籠を背中から前に持ってきて、背中を向けてしゃがみこんだ。
「イルちゃん、おぶさって! イルちゃんをおんぶして走るから!」
「はいですの! よいしょ、アカネ、おぶさりましたの!」
首に回った細い腕を感じながら、両手でイルちゃんの足を持ち立ち上がった。
「うそっ! 初日より多いよ! 行くよイルちゃん! しっかり掴まっててね!」
立ち上がった時に、チラリと後ろを見ちゃったんだけど、初日に遭遇した十匹のゴブリンの倍はいるように見えた。
急いで走り出しながら、イルちゃんには友里くんの事をトントンと叩いていてとお願いして、街にいる友里くんに念話を送る。
「お前らもっと速く走れ! 追い付かれるぞ!」
「そんなこと言ってる場合か! 俺達もヤバいんだ! 悪いけど先に行かせてもらうぞ!」
次々と薬草採取に来ていた他の冒険者達に声をかけられるけど、その人達も必死に逃げているから簡単に抜かれちゃった。
友里くん早く気づいてと、全開で走りながら念話を送っていたのに、すぐ後ろまでゴブリンの声が近づいてきていた。
「アカネ!」
イルの叫びを聞いた時、草に足をとられ絶対転けちゃ駄目な場面で私は地面に投げ出された。