私は宇野小鳥。絵本作家を目指してる25歳!

だったんだけど…
ネタ集めの為に図書館に行って帰る間際に疲労なのか分からないけど、気を失ってしまって、、
気がつき目を開けると私がいた世界ではないところで、、
言葉を話す2頭身の可愛らしいニワトリがいたり、他にもいろんな鳥がそのニワトリの話を聞いてたり…
そして何より私自身が・・・鳥の姿になってるの。

そして今は…

大きな会場…いいえ。
よく見たら神殿みたいなところの壇上で話すニワトリとその話を聞かながら渡された卵を持つ私。
その話が終わるとゾロゾロとまた別の鳥さんが出てきた。
そして私達が座っているブロックの前に来たのは妖艶な雰囲気を醸し出しているクジャクが立っている。

「はーいみなさん!それでは一度みなさんにお渡しした卵は預かりますので渡してくださいねー」

そうゆうと大きなふろしきを持ったクジャクが色んな色や形をした卵を持つ私達の前に来て回収を始めた。

「みなさんの卵は後でお返ししますのでご安心くださいねー」
「それと、あなた達の羽を1本だけもらいますね」

バッバッバッ

クジャクは手際よく翼を上手く使ってふろしきに卵と、それぞれの羽を回収した。

「はい、それではこの後少し移動しますよー」
「それでは行きましょう!みんな立って」

なんの説明もなく戸惑う小鳥…
そしてトントントンと物事が動いている。

でも周りに座っている人達…いや鳥達も戸惑いながらもどうしようもなくそのクジャクが言ったように席を立ち移動を始めた。

ガタンッ...ゾロゾロゾロ

「えっ…えっ…」

トボトボと移動するみんな。
この場に残されるのも不安なこともあり迷いながらも小鳥もトボトボとついていった。

私どうしちゃったんだろう。。
これは現実?
でも…鳥が話す言葉は分かる…どうゆうこと。。
泣きそうになる。

トボトボ…

最後尾を歩く小鳥の近くには同じように不安そうな表情をしている鳥達が数匹いる。

みんなおんなじ状況なのか・・・な。
少しだけ安堵した。

歩く列の先には先導するクジャク。
その後に…私も含めて16匹の鳥がトボトボと歩いている。

「…これ、どこいくんだろう、、」



あれから歩き続け今は薄暗い登り坂になってるトンネルの中。

「はぁ…はぁ…疲れてきた。

あれから30分くらいは歩いている。

「みなさーん、後少しで着きますので頑張りましょうねー」

パッ

小鳥が顔を上げると光を背に話すクジャクが見えた。

「あっ出口だぁ」
風通りもよくなってきた。

「もう少し!もう少し!」

先導してクジャクはもう光の先に消えてる。
訳のわからない状況に加え暗い中にいると気持ちは余計に落ちる。
けど、光が見えると少しだけ明るくなるのは不思議なもの。

「はっはっ…着いたー!」
長いトンネルを抜けた。

「!!!」 
「えぇーー!!!」

小鳥の目の前に広がるのは、
雲を突き抜けてドンっと構えるとてつもない大きな一本の大樹。
直径は数百メートルはあるように見える。
そして今いる場所はその大樹に繋がっている太い蔓の上。

先程とは異なり神々しい太陽の光を全身に浴びた小鳥は衝撃を受けた。

「…す、すごい」
色んな不安は解消されていない。
でも、初めて見たまるで映画の中のような景色を見て、風を感じ、太陽の光に包まれて色々吹き飛んだ。

「こんなの見た事ない!!」
端的にテンションがあがった。
他の鳥達も景色に見惚れてる。

「ほーらー!みなさん!いきますよー!」

気づけばかなり先にいるクジャク。
立ち止まる私達を見て歩くように促した。

「私がいるところまで集合でーす!」

トボトボ…
景色に見惚れながらも歩きだした。



「はーい、みなさんお疲れさまでした!」

ようやくクジャクが立つところに着いた。

「ここ…は?」

そこは大樹から伸びた太い枝の先。
三股に分かれた根本に、大きな葉っぱや細かい枝などが幾重にも重なり広場のような場所になってるところ。

「ここがみなさんの集まる場所になりますー」

「ここが私たちの場所?」
まるで鳥の巣のような大きな広場に到着した。

「それではみなさん、空いてるところに触ってくださいねー」

スゥ、スゥ、スゥ

言われるがまま疲れた体を休めるために皆座り始めた。


「それではみなさんお疲れさまでした」
「改めまして、私はハヴァと言います」
「みなさんのこれからの先生になりますので、よろしくお願いしますー」

「よ、よろしく・お願いします」

戸惑いながらも数匹が返答した。

「わからないことばかりだと思いますが、まず先にみなさんにお渡しするものがありますのでそのまま座って待っててくださいねー」
「それでは…ミネリアさんからね」

そうゆうと、ハヴァ先生は先程回収した卵が入ったふろしきを首に掛け、歩き始めた。



「ふぅ…疲れた。。と言うか本当にここなに…」
また少し冷静になった小鳥。
これまでのことで分かったことは、ここは私がいた世界ではないことと、その世界に鳥として転生してしまったこと。
そして、おそらく周りにいる鳥達も私と同じようになっているかもしれないということ。

「…なんか私悪い事したのかな、、」
「あっ…宮龍くんの約束とか守らなかった…せい?」

無理やり今確かに起きていることを納得させる為に色々考えた。

「でも…でも…」
普通に考えてあり得ない。
また不安が押し寄せてきた。

すると

タッタッタ
目の前にハヴァ先生がやってきた。

「次はあなたね」

呼ばれて顔を見上げた。

「そんなに不安に思わなくて大丈夫よ」
「ここはね、あなたにとって大切なことのためにある世界だから」

「えっ…、、一体なんなんですかここぉ、、」

「それはいつかわかる時がくるから」

「でも…でも、、」

「あなたなら大丈夫!」
「そうね…あなたはこれからコトリと名乗りなさい」

「!!」

偶然なのか意図的なのか分からない。
だけど、私の名前の小鳥と同じ呼び方のコトリとして名乗るように言われた。

「あっ…先生、、」

「いい!この名前が必ずあなたの力になってくれるから」
「私を信じてね」

「…はい」

「それと…はいこれね」

バサバサバサ
徐に広げたのは真っ白で大きな布で四隅に鮮やかな黄色の羽の刺繍が入ったふろしき。

「…先生これは?」

「これはさっき卵を回収したときに貰ったコトリちゃんの羽を編み込んだ大切なふろしきよ」
「このふろしきはコトリちゃんだけの特別なものだから大事にね」

すでに受け取っている鳥のふろしきを見ると色も刺繍も全く違う。

「わたし…だけの?」

「そう、コトリちゃんだけのね」

そう言いながらハヴァ先生は器用にそのコトリのふろしきを袋状に結び私の首にかけた。

すっ

「はい、これで完成!」
「それと…これもね」

ハヴァ先生が自分のふろしきの中を見て、神殿で渡されていた卵を私のふろしきに割れないように丁寧に入れた。

カサっ

トクン…

ハヴァ先生がふろしきに卵を入れた瞬間。
表現が難しいけど、体が無意識に反応するような、私の鼓動が大きくなるような、不思議な感覚を感じた。

「先生…この卵は?」

「これもふろしきと同じようにコトリちゃんだけのもの」
「この卵をどうするかはコトリちゃん次第だけど、大切にしてね」

「はい」

理由は分からないけど素直に答えた。 

「じゃあこれでみんなにお渡しができましたねー」

スタスタ

そうゆうとハヴァ先生はみんなの前方に移動し話しはじめた。

「今お渡ししたものはあなた達それぞれの特別なものです」
「それをどうするかはあなた達次第だけど、私としてはちゃんと向き合って大切にしてほしいです」
「それがあなた達がこの世界にこれた理由にもなっています」

「・・・」

これまでとは少し雰囲気の違うハヴァ先生にビックリしながらもみんな真剣に聞いている。

「そしていつか最後の試練が発生します」
「その試練とは、お渡しした卵をとある場所まで運ぶことです」
「その試練はとても過酷です。傷つくこともあるでしょう。運ぶことをやめ逃げ出してもなにも言いません」
「それでもその使命を達成したその先にあなた達が本当に望んでいる答えがあり、とても奇跡的なことです」

そうゆうとハヴァ先生は自分の首にかかっているふろしきに手を添えた。

「このふろしきも、その試練を乗り越えた私の大切なものです」
「私の卵はもうありません」
「それは私が本当に望んだから困難を乗り越えある場所に運んだからです」

ゆっくり首からふろしきを取り、結び目を解いてひらいた。

「もう数百年も前のこと」

よく見るとハヴァ先生のふろしきは傷だらけでボロボロ。

「私は運び切ったことは良かったと心から思っています」
「あなた達が私と同じ答えになるかはわかりませんが、その答えはお渡しした卵と寄り添うことで見えてくるでしょう」

「・・・」

「お渡ししたふろしきとそして卵をどうするかはあなたたち次第です」
「それでも、私からは改めてになりますが大切にしてほしいと思っています。いいですね」

「…はい」
ハヴァ先生の真剣さにそれぞれが返答した。

「はい!と、今日私から伝えたかったことは以上でーす」
「詳しく言えないこともありますが、なんでも聞いていいですからねー」

そこからはさっきまでのハヴァ先生だった。

「それではこれからみなさんが休める場所をそれぞれ案内しますねー」

そう言うと個々に誘導し始めた。


「私の特別なもの…」

なんか壮大な話を聞いた。
それがこれから待ち受けていると言うことも。
まだまだ分からないことばかりで戸惑いはあるけど…。

スッ

首にかけられたふろしきとその中にある卵を見て、翼になった私の手で卵を持ち上げた。

「…私の卵」

微かに卵の鼓動を感じた。
そして、理由は分からないけど…
手に持った卵を守りたいと強く思った。


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