辿り着いた教室は当たり前にがらんとしていた。
次のクラス替えに備えて、ごちゃごちゃとしていた掲示物も誰かの忘れ物も、すっかり何もなくなっている。
陽乃木くんの席は中央列の前から三番目。 いつも人に囲まれて楽しそうに笑っていた。
私は陽乃木くんの席の横を通って教室後ろにある掃除用具入れに向かう。
「掃除用具入れの、上……」
私は横のロッカーの上に上り、ほこりっぽい掃除用具入れの上を覗きこんだ。
「……!」
角に添うようにして置かれた、四角いギフトボックス。
「あった……」
10センチ四方程度の、白いリボンがかけられたネイビーの箱だ。
それを手に取って、ほこりを払いながらロッカーの上から降りる。
息をするのも忘れて、丁寧にその包装をほどいていく。
開けると、目に飛び込んできたのは小ぶりのお洒落な腕時計だった。
シンプルな作りで、おしゃれと縁遠い私でも抵抗なくつけられるデザインだ。
箱には説明書と、その間に四つ折りに畳まれたメモも挟まっている。
【これからもかっこいい茅野くるみでいてね】
それは、陽乃木くんから私への最後のメッセージだった。
次のクラス替えに備えて、ごちゃごちゃとしていた掲示物も誰かの忘れ物も、すっかり何もなくなっている。
陽乃木くんの席は中央列の前から三番目。 いつも人に囲まれて楽しそうに笑っていた。
私は陽乃木くんの席の横を通って教室後ろにある掃除用具入れに向かう。
「掃除用具入れの、上……」
私は横のロッカーの上に上り、ほこりっぽい掃除用具入れの上を覗きこんだ。
「……!」
角に添うようにして置かれた、四角いギフトボックス。
「あった……」
10センチ四方程度の、白いリボンがかけられたネイビーの箱だ。
それを手に取って、ほこりを払いながらロッカーの上から降りる。
息をするのも忘れて、丁寧にその包装をほどいていく。
開けると、目に飛び込んできたのは小ぶりのお洒落な腕時計だった。
シンプルな作りで、おしゃれと縁遠い私でも抵抗なくつけられるデザインだ。
箱には説明書と、その間に四つ折りに畳まれたメモも挟まっている。
【これからもかっこいい茅野くるみでいてね】
それは、陽乃木くんから私への最後のメッセージだった。