……そのときだった。
少し強い、冷たい風が吹いた。
ザァザァと葉と葉が擦れる大袈裟な音が、辺りを包む。
目の前にある桜の木の葉も煽られて大きく揺れた。
「!」
蕾と葉の間に見えたものに、私は息を止めた。
風がやんで、再び穏やかな静寂が訪れる。
ごくりと喉を鳴らして、すぐそこにある葉にゆっくりと、震える手で触る。
そして蕾と葉がついたその枝を、そっとどけた。
【誕プレ!】
そこに陽之木くんの字があった。
木の枝に括り付けられたカードだった。 ご丁寧にラミネートされたそれに、確かに陽乃木くんの字でそう書かれている。
私は一度柵から降りて、そのカードを枝から解いて裏側を見る。
【三組の掃除用具入れ上に集合!】
「三組の掃除用具入れ、上……?」
三組は陽乃木くんがいたクラスだ。
ここまで来て、陽之木くんはまだ私を振り回したいのだろうか。
私は柵から手を離し、ふらつく体で三組の教室へと足を運んだ。
少し強い、冷たい風が吹いた。
ザァザァと葉と葉が擦れる大袈裟な音が、辺りを包む。
目の前にある桜の木の葉も煽られて大きく揺れた。
「!」
蕾と葉の間に見えたものに、私は息を止めた。
風がやんで、再び穏やかな静寂が訪れる。
ごくりと喉を鳴らして、すぐそこにある葉にゆっくりと、震える手で触る。
そして蕾と葉がついたその枝を、そっとどけた。
【誕プレ!】
そこに陽之木くんの字があった。
木の枝に括り付けられたカードだった。 ご丁寧にラミネートされたそれに、確かに陽乃木くんの字でそう書かれている。
私は一度柵から降りて、そのカードを枝から解いて裏側を見る。
【三組の掃除用具入れ上に集合!】
「三組の掃除用具入れ、上……?」
三組は陽乃木くんがいたクラスだ。
ここまで来て、陽之木くんはまだ私を振り回したいのだろうか。
私は柵から手を離し、ふらつく体で三組の教室へと足を運んだ。