疑いの目を向けてみるけど、これ以上口を開く気が毛頭なさそうな依田くんはじっと私を見据えて、私の第一投をただひたすらに待つ構えだ。
 その目はやっぱり鋭く、じわりじわりと私の肝を冷やしてくるので、私にはもう黙って投げる以外の選択肢がないのだと悟る。
 両手でボールを持って、穴に指を入れることはせず、おそるおそるレーンのファウルラインの前に立つ。
 そしてそのままボールをゴトリとレーンに投げる、否、放る、と言うより、落とした。
 ゆるゆると送り込まれていくボールはレーンの右端に当たり、左端に当たり、また右端に当たる。
 ……自分が情けない投げ方をしていることはわかっている。
 でもこのやり方でないとボールを途中で落としてしまって、レーンにのせることも出来ないのだ。
 そしてボールはジグザグを描いて最終的にピンを横からなぎ倒していき、頭上のスコア票の一番端には6が表示された。

「……ナイスです」

 どこがナイスなんだ、と心の中で依田くんに悪態をつく。