達也は、親のことなど関係なしに自分を愛していると言ってくれた。その言葉に嘘はない。自分たちは親の意向など関係なく本当に愛し合っており、幸せな家庭を築くのだ。そう信じていた。

 会場には色とりどりの花が飾られ、夜の海をモチーフにプロジェクションマッピングなど幻想的な光の演出が施されていた。
シェフたちが用意する高級食材を使った多国籍料理や上質なカクテルやワインに出席者たちも舌鼓を打っている。豪華なパーティーは両家の財力と権力の結びつきを祝うためのものでもある。
 黒いタキシードに身を包む父は上機嫌で来客たちと談笑している。今夜の主役はすみれではなく父かもしれなかった。