「何で、そう思うの……?」
こっちが逆に聞きたい。
苦手なんて、そんなことある訳ないのに。
伏せられていた服部くんの視線が、自信無さげにこちらを向く。
「そりゃ……清水って、俺だけに素っ気無いような気がするし。せっかくの同期なのに、全く頼ってくれないから」
「そんなこと無いよ。いつも助けてくれて、ありがとう。それに、目配り、気配りも凄くて、ちょっとしたことでも気付いてくれるよね」
そう、遠くの方で、ぽつんと居る私でさえも気に掛けてくれる優しさ。
誰にでも出来ることなんかじゃ、ないんだよ。
「みんなが尊敬してる。さすが、卒業していった先輩たちから、部長に推薦される人だなって、思う。だから……」
思うこと全てを吐き出して、自分の言いたいことの整理がつかなくなってきた。
こんなことを、だらだら言っていたって、伝わらない。
私が言いたいのは、これだけ。
私は体ごと、服部くんの方へ向けた。
「私は、服部くんのこと、これでもかってくらい頼りにしてます」
そのまま、じっと見つめると、服部くんの表情の変化がよく分かる。
一瞬にして、パアッと明るくなった。
笑っていなくても、目が語っている。
生き生きと輝き出した。
それにつられて、私も照れ臭くなる。