「ちょ、ちょっと、やめて。みんなの前でそんな話……それに、服部くんは関係ないのに」



口を挟んだ私を見ることもなく、直江くんは言った。



「いいんですか? 清水さんは」



私ではなく、服部くんをただ真っすぐ見据えたその瞳からは、切なさが滲み出している様で。

私もつられて切なくなるような、罪悪感に抑え込まれてしまうような、何とも言い難い感情に支配されると、つい黙ってしまった。

すると、直江くんは苛立っている様子で、語気を強めた。



「そうやって、これからも後悔し続けるんですか」

「そ、そうやって、って……私は後悔なんか、してないけど」

「はぁ? ……俺は、逃げるのをやめて、けじめつけたのに」

「そ、それは……」



残忍と言われようと、純粋に嬉しかった。

直江くんは、気持ちを打ち明けてくれた。

でも、私は報われないなら、この気持ちは捨てて、次に進もうと思った。

気持ちの対処の仕方なんて、人それぞれなのだから、そのやり方を決めつけないでほしい。

内心で屁理屈をこねていても、直江くんのお説教は止まらない。



「後悔が残っても時間が経てば、確かに薄れていくでしょうね。でも、消えやしませんよ? きっと忘れた頃に、ふと浮かんでは、また清水さんを苦しめます」



そんなこと、分かってるってば。

数時間前、ここに場所取りに来たとき、私自身も似たようなことを考えて、恐怖すら感じていたのだから。