私には、関心を持たない人。

それは言い過ぎと、誰かに言われたとしたら、それなら『あくまで同級生』『偶然、同じサークルに所属する仲間』それ以上は無いのだと、もう分かっている。

それどころか、きっと彼は椿ちゃんが好きなんだろう。

いつも隣に行く。

私の隣に来てくれるときは、作業を手伝ってくれるときに限られている。

それに、話をしている時だって、楽しそうだし。

椿ちゃんは、彼にとっても年下で。

何より、容姿だって華奢で、可愛い。

勝てない。

1人密かに悶々としていると、あれからずっと不機嫌な直江くんが挑戦的な態度で、服部くんをじっと見る。

服部くんもそれに対し、眉を顰めた。



「……何だよ」



直江くんは、しばらく相手に視線を合わせたまま、黙っているだけだ。

剣呑な空気が流れる。

こんな雰囲気を、今までにも何度か感じてきた。

――今更だけど、仲悪いのかな……。

いつも、思っていた。

椿ちゃんもこの時ばかりは、空気を読んで静かにしている。

見守っていると、先に口を開いたのは、直江くんの方だった。



「『何だよ』ですか。随分、呑気ですね、服部先輩」

「本当に何の話をしているのか、分からない」

「あなたが余りにも、もたもたし過ぎているので、もう待ちきれなくて、俺、清水さんに告白しちゃいましたけど?」



直江くんの台詞に反応した服部くんの顔が一瞬、引きつる。

椿ちゃんは私の袖を、弱々しく引っ張って私を見上げた。