満月の日。

家の縁側に寝転んで

あの人に電話をかけた。

「もしもし」

別れました。多分。

「多分?」

話し合いをしないのなら、もう連絡はしないと言ったんです。

「うん」

連絡は返ってきませんでした。

「そうか。一人で頑張ったな。」

はい。

「遥香は優しすぎるから。どうせ相手のことばかり気を使っていたんだろう?」

私は、優しくなんかないんです。

「遥香。自分を認める努力をしなさい。」

電話を切って夜空を見上げた。

うるさいくらいのコオロギの声

風に揺れるススキの音

月にいるうさぎ達

大好きな人と別れたというのに

何故か涙は出なかった。

これが呆れ返っているのか、もう前を向いているからなのか。

私にもわからない

分からないから、優しさを探す旅に出よう。

この世界は死にたくなるくらいに残酷で息苦しい。

けど必死にあがいて生きていくしかないんだ。