「……湊君にはわからないよ。3ヶ月間、毎日無視される気持ち。いっつも楽しそうにみんなとワイワイしてる湊君には絶対わからない」


「じゃあ、桜はいつまでもそうしてるつもり? そうやって2人が2人とも意地を張ったり、素直にならなかったら、この先、もう元に戻れなくなるかも知れない。今が……戻るチャンスなんだ。仲の良かった姉妹に」


「そんなの無理だよ、笑えないよ。足を怪我して苦しんでる夢を思うと、私だけが笑うなんてできないんだよ。私、もう、どうしたらいいのかわからない」


「桜……」


俺は、思い詰めた桜の体をフワッと包んだ。
隣にいる桜の悲しみを、半分背負ってあげたくて、ただ、その一心で。


「……湊……君?」


「桜。お前は1人じゃない。俺がずっとお前の側にいる」


柔らかい桜の体を抱きしめながら、そう耳元で言った。