「簡単に言わないで。私は、大切な妹の人生を壊したんだよ。夢はね、私と2人きりになると何も話してくれない。それでも毎日妹に会いにいくのは……いつか、必ず笑ってくれると信じてるから。でも、やっぱり無理なの。3ヶ月間、何も変わらなかった。それどころか、夢はどんどん卑屈になっていく。これはね、きっと私への罰なの。私が夢の笑顔を奪ったから。だから、私は、絶対に心から笑ったり、幸せになっちゃいけないの」


必死に話す桜が痛々しかった。
自分のせいだと追い詰めて、罰を受ける覚悟までして……


「なあ、それは違うだろ? 桜はまだ高校生なんだ。俺達は、新しい人生に向かって羽ばたく時だろ? こんな年齢で未来を閉ざしてどうするんだ? これは、お前の人生なんだ、春野の人生じゃない。もちろん、春野にも春野の人生がある。だから、つらくても、諦めて逃げるな」