「は、春野……?」


「湊君が側にいてくれたら、私、きっと頑張れる。それとも、こんな車椅子の私なんて嫌?」


春野が俺を?
そんな風に思っててくれたんだ。
でも……
俺にはその気持ちに応えることはできない。


「そんな言い方やめろよ。車椅子だから嫌とかあるわけないだろ。でも、春野の側にはいつも桜がいる。中学の時もそうだった。お前らずっと仲良かっただろ? 今だって、毎日あいつはお前のとこに行って、ずっと側にいる」


「だから何?」


「俺には、春野のことを、桜みたいに支えることは……できないから」


「……頑張れない。桜じゃ頑張れないよ。ねえ、湊君。これからは私のことをずっと支えてほしい。お願い」


「それは……」


「やっぱり私のこと嫌い?」


車椅子の春野は、とても悲しい目をして訴えかけた。
さっきのキツい目とは違う、潤んだような瞳で。


「だから、春野が嫌いとかそんなんじゃない。お前の気持ちは有難いけど、俺、ずっと好きな人がいるから。中学の時からずっと。だから、他の人と付き合うとか無理なんだ。ごめんな。でも、ちゃんと友達として……」