病院……?
ここに何の用があるんだ?
俺は、本屋に行こうとして自転車を走らせていた。たまたま地元の小さな総合病院に入っていく桜を見かけ、「知りたい」という抑えられない衝動にかられた。
すぐに自転車を止め、病院に向かって走りだした。
中に入って、桜を必死に探す。
いた――
桜の背中、どこにいてもわかる。
昔から変わらないトレードマークみたいな髪型。
そんなに高くない身長。
優しいオーラがそこから溢れてる。
探偵みたいにこそこそ尾行してる自分に後ろめたさを感じつつも、桜のことを知るには今しかないと思った。
入っていった病室のネームプレートに目をやると、「春野 夢」と書かれていた。
正直、驚いた。
春野 夢は、桜の妹。
確か双子だった。
夢とも同じクラスになったことはない、高校も別。
でも、中学時代に何度か話したことがある明るい性格の女の子だ。