私の婚約者は、両陛下のただ一人の息子である王太子アンドレアだ。
誰もが私を羨んだが、私は恋をしてから、ずっと惨めな思いで過ごしていた。
アンドレアはろくな魔法さえ使えない私を嫌っている。
持て余す魔力。私に魔法の才能はからきしなく、魔力ランキング第二位なのに、婚約して間もなく私は暴漢に襲われて怪我をすることになった。
相手もまさか、肩から胸、腹にかけて大きな裂傷痕を残すことになろうとは予想外だったろう。
貴族にとっては常識にもなっている簡単な〝防壁の盾〟と言われている防御魔法。それも出ず、目の前で少女が無防備な姿で血飛沫を上げた光景は、トラウマを残したかもしれない。
崩れ落ちる刹那、私はその暴漢の目に絶望と動揺を見た。
(――ああ、ごめんなさい)
貴族なら誰もが使える、魔法。
それさえも私は使えなかったことを、あの時の彼の様子を見て悔いた。
公爵家を妬んだ者だろう。
幼いながらにして私は貴族の世界の生きづらさを知った。
そして私は――回復して目が覚めた時、三歳年上で当時十歳だったアンドレアから向けられた睨む目に、絶望したのだ。
誰もが私を羨んだが、私は恋をしてから、ずっと惨めな思いで過ごしていた。
アンドレアはろくな魔法さえ使えない私を嫌っている。
持て余す魔力。私に魔法の才能はからきしなく、魔力ランキング第二位なのに、婚約して間もなく私は暴漢に襲われて怪我をすることになった。
相手もまさか、肩から胸、腹にかけて大きな裂傷痕を残すことになろうとは予想外だったろう。
貴族にとっては常識にもなっている簡単な〝防壁の盾〟と言われている防御魔法。それも出ず、目の前で少女が無防備な姿で血飛沫を上げた光景は、トラウマを残したかもしれない。
崩れ落ちる刹那、私はその暴漢の目に絶望と動揺を見た。
(――ああ、ごめんなさい)
貴族なら誰もが使える、魔法。
それさえも私は使えなかったことを、あの時の彼の様子を見て悔いた。
公爵家を妬んだ者だろう。
幼いながらにして私は貴族の世界の生きづらさを知った。
そして私は――回復して目が覚めた時、三歳年上で当時十歳だったアンドレアから向けられた睨む目に、絶望したのだ。