「やっぱり仮装かなあ。衣装の発注は必須だよね!」

 空想を膨らませ、次々と書き出していく。

 ナース、警察官、魔女、ドラキュラ、フランケンシュタイン、狼男、ミイラ、ゾンビ。熊とともにアイデアを出し合いながら次々にコスプレの候補が挙がっていく。

 備品は日曜にくる港の市場で注文することができる。予算内で勝手に発注していいとは言われているものの、ずらりと並ぶ衣装リストを見て思わず苦笑いした。

「これ全部頼む気じゃないよな?」

 桜井月は改めて自分が書いたノートを見て、ハハッと笑って誤魔化す。

「誰がどれ着るかで揉めそう。それに全員の意見聞いてたらきりない」

 的を射た発言をする林太郎に、彼女は眉間にしわを寄せて唸った。

「仮面舞踏会、とかは」

 今日初めて桐島が声を出し、四人の視線が集中する。

 一緒にいるようになってからも口数が少ないのは変わっていなくて、一日を振り返って声を聞いたか思い出せない日もある。

 常になにを考えているか読めないと思っていたけど、まさか彼女の口からハロウィンの企画案が出るなんて驚いた。